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  1. 東京都議会 2000-02-23
    2000-02-23 平成12年_第1回定例会(第1号) 本文


    取得元: 東京都議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-14
    午後一時開会・開議 ◯議長(渋谷守生君) ただいまから平成十二年第一回東京都議会定例会を開会いたします。  これより本日の会議を開きます。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) まず、議席の変更を行います。  議席変更の申し出がありますので、会議規則第二条第三項の規定により、お手元配布の議席変更表のとおり、議席の一部を変更いたします。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、会議録署名議員の指名を行います。  会議録署名議員は、会議規則第百二十四条の規定により、議長において    七  番 町田てるよし君 及び    六十七番 鈴木 一光君 を指名いたします。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。 ◯議事部長(會田紳次君) 平成十二年二月十六日付東京都告示第百四十九号をもって、知事より、本定例会を招集したとの通知がありました。  また、同日付で、本定例会に提出するため、議案二百六件の送付がありました。  次に、知事及び各行政委員会より、平成十二年中における東京都議会説明員及び説明員の委任について、地方自治法第百二十一条及び東京都議会会議規則第四十二条の規定に基づき、それぞれ通知がありました。  次に、選挙管理委員会委員長より、平成十一年第四回定例会の会議において選挙された東京都議会選挙管理委員は、平成十一年十二月二十三日をもって就任したとの通知がありました。  次に、知事より、平成十一年第四回定例会の会議において同意を得た東京都教育委員会委員等の任命について発令したとの通知がありました。
     次に、東京都包括外部監査人より、平成十二年二月三日付で、平成十一年度包括外部監査の結果について報告がありました。  次に、知事より、地方自治法第百八十条第一項の規定による議会の指定議決に基づく専決処分について、報告が三件ありました。  内容は、訴えの提起、損害賠償額の決定及び和解に関する報告について、東京都高等学校・大学等進学奨励事業に係る貸付金の償還免除に関する報告について及び警視庁の設置に関する条例の一部を改正する条例の報告についてであります。  次に、監査委員より、平成十一年度第二回工事監査、平成十一年度財政援助団体等監査その一、例月出納検査及び平成十一年度行政監査の結果について、それぞれ報告がありました。  最後に、特別区に執行委任した事務に関する監査結果の報告が、荒川区外二十区より四十件提出されました。 (別冊参照)      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、文書質問に対する答弁書について申し上げます。  平成十一年第四回定例会に提出されました、山本信君、藤田十四三君、大河原雅子さん、吉田信夫君、和田宗春君、坂口こうじ君及び三原將嗣君の文書質問に対する答弁書は、質問趣意書とともに送付いたしておきました。ご了承願います。    〔文書質問趣意書及び答弁書は本号末    尾(一九ページ)に掲載〕      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の議員の退職について申し上げます。  去る一月十六日、八王子市選出黒須隆一君は、公職選挙法第九十条の規定により退職者となりました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の議会運営委員の辞任及び選任について申し上げます。  去る一月二十日付をもって、羽曽部力君より辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、同日付をもってこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。  なお、ただいまご報告いたしました委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、同日付をもって大西由紀子さんを指名いたしました。  お諮りいたします。  本件は、議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、議長指名のとおり承認することに決定いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、閉会中の平成十年度各会計決算特別委員、平成十年度公営企業会計決算特別委員行財政改革基本問題特別委員並びに地方分権推進特別委員の辞任及び選任について申し上げます。  お手元配布の名簿のとおり、各委員よりそれぞれ辞任願が提出されましたので、委員会条例第十一条第一項ただし書きの規定により、議長において、それぞれこれを許可いたしましたので、ご報告いたします。  なお、ただいまご報告いたしました特別委員の辞任に伴い、欠員を補充する必要が生じましたので、委員会条例第五条第四項の規定により、議長において、お手元配布の名簿のとおり指名いたしました。  お諮りいたします。  本件は、それぞれ議長の指名のとおり承認することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本件は、それぞれ議長指名のとおり承認することに決定いたしました。      ─────────────    平成十年度各会計決算特別委員辞任・    選任名簿 ○辞 任      ○選 任  高島なおき君(自民) 藤田十四三君(社民)      〔以上 平成十二年一月二十一日付〕     平成十年度公営企業会計決算特別委員     辞任・選任名簿 ○辞 任      ○選 任  藤沢 志光君(自民) 藤田 愛子君(生ネ)      〔以上 平成十二年一月二十一日付〕     行財政改革基本問題特別委員辞任・選     任名簿 ○辞 任      ○選 任  野村 有信君(自民) 大河原雅子君(生ネ)      〔以上 平成十二年一月二十一日付〕 ○辞 任      ○選 任  町田てるよし君(都民) 野村 有信君(自民)       〔以上 平成十二年二月十七日付〕     地方分権推進特別委員辞任・選任名簿 ○辞 任      ○選 任  三田 敏哉君(自民) 藤田 愛子君(生ネ)      〔以上 平成十二年一月二十一日付〕      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 会期についてお諮りいたします。  今回の定例会の会期は、本日から三月三十日までの三十七日間といたしたいと思います。これにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、会期は三十七日間と決定いたしました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) この際、知事より、平成十二年度施政方針について発言の申し出がありますので、これを許します。  知事石原慎太郎君。    〔知事石原慎太郎君登壇〕 ◯知事(石原慎太郎君) 平成十二年第一回都議会定例会の開会に当たり、都政に対する私の施政方針を申し述べ、都議会並びに都民の皆様のご理解とご協力を得たいと思います。  初めに、新しい千年紀の幕あけという、記念すべき西暦二〇〇〇年を迎え、都政を預かる立場から、これからの東京を展望する上での時代認識について申し上げます。  およそ一世紀余り前、我が国は近代国家を目指して、歴史的な改革を断行いたしました。それ以来、明治から昭和に至る歴史の大きなうねりの中で、幾たびかの危機を果敢な適応力で乗り越え、我が国は、驚くべき速さでその目的をなし遂げました。日本にとって二十世紀は、非西洋文化圏で初めて誕生したグローバルプレーヤーが、世界史の表舞台に立った成功の世紀として、歴史に記されると考えます。  しかしながら、翻って、今日の日本の姿を見ると、新しい文明秩序の創造が期待されているにもかかわらず、みずからがよって立つ基軸となる新しい価値体系を見出せない一方、これまでの倫理規範が揺らいでおり、まさに混迷の世紀末というべき危機的状況に直面しております。  戦後五十年以上に及ぶ平和と繁栄の中で、国家の自立や社会の自己責任という本質的な課題について考えない、何が本質なのかわからないという状況が続いてきました。また、中央集権的な政治・行政システムが、自治体や企業そして個人の自立を阻み、新しい発想やチャレンジ精神が生まれにくい土壌をつくってきました。現在の日本は、みずからの運命をみずからの手で決めていくという自己決定能力をいささか失いつつあります。  日本のあるべき姿は何か、日本人はこれからどのような理念のもとで歴史を生きていこうとするのか。新千年紀の幕あけという、新たな歴史の出発点になすべきことは、何よりも、国家のグランドデザインやアイデンティティーを、みずからの手で確立することであると確信いたします。  二十一世紀の日本に大きな変化を強いる潮流を見ると、まずグローバリゼーションと情報技術革命によって、個人が、旧来の社会的枠組みを超えて活躍し、これまでと比較にならない力を発揮する時代をつくりつつあります。その一方で、家族、地域、国家など、個人を支える共同体への帰属感が希薄になるとともに、これまで培ってきた伝統や文化に対する誇りが失われてきております。また、個人主義や平等主義を履き違えた、自己中心的な生き方が蔓延しています。  科学技術の驚異的な進歩は、その輝かしい成果を現代社会にもたらす反面、遺伝子や環境の領域に見られるように、今や人間自身の存在と尊厳を危うくしております。  世界に例を見ない速さで進む少子高齢化の中で、社会の活力をいかに維持していくのか、そのための仕組みをどのようにするのか。その道筋はいまだ十分に描かれてはおりません。  こうした時代の潮流にうまく適応できないことが、現在の日本の危機の本質につながっております。今、求められていることは、国家体質の自発的な変革をなし遂げ、この危機を乗り越えることであります。そのためには、自立した個人が創意を生かし、リスクへの挑戦と成果が評価される社会を築き上げることが大切であります。  首都東京には、日本の危機の本質が最も顕著にあらわれていると同時に、危機を克服するための巨大な潜在的エネルギーが存在しております。すなわち、社会を動かす原動力となる、前衛的な思想や個人の活動です。  時代を覆う閉塞感を打ち破るためには、こうした前衛的な行動を開花させていかなければなりません。  私は、国政の本質を変える最初の引き金をこの東京から引き、首都東京を、そして日本を、混迷から再生へとよみがえらせることに全力を挙げていく決意であります。  次に、現在の都政に求められている課題と、都政運営の基本的方針について申し上げます。  現在の都政の最重要課題の一つが財政再建であることはいうまでもありませんが、同時に、東京を混迷から再生へとよみがえらせるための足がかりを築くことが極めて重要であります。  今、都政に問われていることは、新たな歴史の座標をみずからつくり出す姿勢であります。すなわち、混迷の時代であるからこそ、地方主権の視点に立って、これまで当然とみなしてきた、さまざまな制度的な制約を打破していく行動が強く求められております。また、東京の将来を見据えた長期ビジョンを明らかにするとともに、それを実現していくためのしなやかな行政体質を確立しなければなりません。  私は、こうした基本的な認識のもとで、平成十二年度都政運営の基本方針として、次の三つを掲げることといたしました。  第一は、制度変革に向けた首都東京からの挑戦であります。  一千二百万都民を抱える首都東京から、改革に向けたメッセージを発信していくことは、国や社会を動かす上で大きな影響力を発揮いたします。  私は今回、地方主権の基幹となる課税自主権の行使を、東京が先導的に果たすことを決意し、銀行業に対する外形標準課税を、五年間の時限措置として導入することといたしました。本定例会に新たな条例案を提案しております。  今回の措置は、現在の都財政にとって、安定的な税収の確保が急務であると判断し、銀行業という業種に限定しておりますが、税収の安定化や税負担の公平性確保を図るため、地方税法の規定を活用して、都独自に実施するものであります。  銀行業は、業務上の利益を十分得ているにもかかわらず、不良債権処理という、過去の事業運営の負の遺産によってほとんど課税を受けず、行政サービスのコストを負担しておりません。バブル期には二千百億円を超えていた大手銀行の事業税が、現在では百億円程度しか納められていないなど、税収動向は極めて不安定になっており、応益課税としての法人事業税の機能が失われております。また、本来、自助努力によって解決すべき不良債権処理のために、十兆円を超える多額の公的資金が投入されるなど、金融システム安定化のための安全ネットが十分に張られています。  導入に当たっては、資金量五兆円以上の銀行に限定して実施するとともに、外形標準として、基本的な業務の収益指標である業務粗利益を採用いたします。税率は、過去の所得課税による税収実績等を勘案して、特別法人を除き、三%といたします。  二十一世紀に向けて、我が国が果たすべき大きな改革の一つは、地方自治体が自立し、みずからの責任とみずからの財源で主体的な施策を展開する仕組みを確立することです。  しかしながら、地方分権一括法は成立したものの、分権型社会を確立するために何よりも必要な地方税源の充実確保は、長年にわたる地方自治体の悲願であるにもかかわらず、中長期的な課題として先送りされてしまいました。また、安定した行政サービスを提供するためには、景気変動に左右されない、安定した税収を確保することが不可欠ですが、国で検討されてきた法人事業税への外形標準課税の導入についても、見送られております。  こうした状況下で、真の地方自治を確立するためには、現行法制度の中で、それぞれの自治体が地域の実情に応じて、みずから財源確保に知恵を絞ることは当然であります。  私は、地方主権の視点に立った、この東京発の新しい税制の発信が、停滞する国政の本質を変える上で、極めて大きな意義を持つメッセージであると考えます。首都東京から新しい変革の歴史をつくり出すため、私は、都議会を初め都民の皆さんと一丸となって、制度変革のうねりを巻き起こしてまいりたいと思います。  外形標準課税の導入とあわせて、私は、新築住宅を対象に、固定資産税と都市計画税の減免制度を五年度間実施することといたしました。住宅産業はすそ野が広く、経済波及効果が大きいため、これを税制面から支援することで、景気刺激策になるとともに、良質な住宅ストックの形成にも資するものと考えます。  税制については、このほかに、巨大な昼間流入人口など、大都市特有の財政需要に対応するため、法人都民税の超過課税を五年間延長する一方、現在の景気状況等における都民の税負担感に配慮し、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を、十二年度は継続いたします。  もう一つの試みとして、私は、東京の都市づくりを通じて、二十一世紀にふさわしい、新しい公共の概念を提起していきたいと考えております。  東京のような大都市では、社会資本整備における合意形成のルール、公共事業の執行における財産権と公共の福祉のバランスが、極めて重要な課題になっております。高密度都市東京の都市空間は、その希少性に加えて、公共的な整備によって、経済的活動や居住の場として高い価値を持っており、都民共有の財産にほかなりません。  合意形成に当たっては、まず総合環境アセスメント制度など、新たな評価制度の導入によって適正な手続を徹底することが大切です。空港や広域幹線道路など、施設整備による便益が広範に及ぶ事業には、地元の声だけではなく、利用者を初めとする、できるだけ多くの人々の意見を反映させることが必要であります。その上で、正当なプロセスを経て合意された公益的な事業は、個人の権利をいたずらに許容することなく、迅速な実行こそが優先されるべきであります。  私は、東京の都市空間の有限性と公共性を十分に意識し、東京の実情に即した都市づくりを進めていくため、新しいルールづくりに取り組んでまいりたいと思います。  第二は、東京の再生に向けた長期戦略ビジョンづくりであります。  私はまず、本年末を目途に東京構想二〇〇〇を策定し、東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにするとともに、その実現に向けた施策展開の道筋を総合的、体系的にお示ししたいと思います。  構想の目標時期は、都市構造の変化などについては五十年後を視野に入れながら、東京の将来像の具体的イメージを喚起し、施策の成果がはっきりとあらわれてくる十五年後といたしました。  この構想では、我が国で初めての試みとして、政策の目標と実績をわかりやすい指標で示す東京都政策指標を全般的に導入し、これを計画の基軸に据えて取り組むことにより、成果重視の行政活動の流れを確立してまいります。また、具体的な施策、事業のうち、重点的に取り組むべきものについては、三カ年程度の推進プランを策定いたします。  東京の将来のあるべき姿を展望するためには、とりわけ、都市計画の基本的方向や都市整備の方針が重要になります。
     このため、私は、東京の新しい都市づくりビジョンの策定を通じて、東京圏における広域的な連携の視点を踏まえながら、目指すべき都市像や望ましい都市構造のあり方を提起し、これを東京構想に反映させてまいります。  少子高齢化や人口減少の時代を迎える中で、東京の持っている潜在的エネルギーをダイナミックに発露させていくためには、国内や海外からの訪問客を含む交流人口に着目し、東京をにぎわいのある魅力的な都市としていくことが重要です。また、都心の再生に加え、臨海地域や多摩地域など、豊かな自然に恵まれたポテンシャルの高い都市空間を有効に活用していくことも大切であると考えます。  首都移転問題については、昨年末、国会等移転審議会から移転先候補地の答申が行われました。  非公開の審議会という密室の中だけで、一方的に移転の手続を進め、国民的な議論も尽くされない中で答申を強行したことは、まことに遺憾であり、不当でさえあると考えます。  答申の内容も、東京を挟んで東西に配慮した極めてあいまいな表現となっており、候補地のばらまきという印象をぬぐい切れません。  私は今後とも、首都移転がいかに時代錯誤であり、日本の将来を危うくするかということを、広く国民の皆さんに訴え、移転が白紙撤回されるまで、粘り強く反対運動を続けてまいりたいと思います。  我が国の首都機能は、東京を初めとする一都三県が、業務核都市の形成などを通じて、連携、分担しながら担っております。二十一世紀においても首都機能を発揮していくためには、東京圏を再構築しながら、高次の都市機能の集積を支える、新たな都市構造を実現していかなければなりません。  このため、私は、これまで以上に隣接県との十分な連携を図りながら、東京圏メガロポリス構想を策定し、東京圏全体の力で日本を牽引するとともに、アジア地域や世界を先導していくことを目指したいと思います。  第三は、二十一世紀の都政を創造するための、しなやかな行政体質の構築であります。  私は、都政の抜本的改革の姿を示す都政改革ビジョンの策定に着手いたしました。策定に当たっては、まず十二年度に、執行体制、人事給与制度、仕事の進め方、監理団体など、都庁改革に向けて、直ちに取り組むべき行財政システムの具体的な改革の内容を、十五年度までの実施計画として明らかにいたします。次いで、東京構想で示される東京が目指すべき将来像を踏まえ、中長期的視点から、東京をめぐる自治制度の抜本的な改革を視野に入れた、都政のあるべき姿を描き、新たな自治体像について検討を進めてまいります。  組織改革については、今後、都が行うべき施策を明らかにした上で、そのあり方を検討してまいります。しかしながら、トップマネジメントのあり方の見直し、保健、医療、福祉分野の連携など、東京を取り巻くさまざまな危機を克服するための体制整備や、組織の簡素化、効率化に向けた徹底的な見直しなどについては、精力的に検討を進め、実施してまいります。  また、行政評価制度の試行を十二年度に拡大し、評価結果の活用方法やフォロー体制の検討を含め、十三年度の本格実施に向けた取り組みを進めます。  監理団体の改革は、都政改革の大きな柱の一つです。先日、これを確かなものとしていくため、企業経営者の視点も踏まえ、総点検のための基本指針を策定いたしました。改革に向けた基本的考え方として、団体の設立趣旨等の見直し、自律的経営の促進、経営の透明性の向上を掲げた上で、経営評価制度の見直し、費用対効果の徹底、団体の経営努力に対するインセンティブの付与など、七つの基本指針を示しております。  今後、この基本指針をもとに、各団体において早急に経営改善計画を策定いたします。また、都がこれと並行して実施する個別団体の総点検結果を、本年秋を目途として公表し、十三年度予算から反映させてまいります。  次に、平成十二年度予算案について申し上げます。  私は、平成十二年度予算を、都財政の構造改革を推進する中で、財政再建の達成に向けて確実な第一歩を踏み出す予算と位置づけました。  都財政は、財政の対応能力が限界に達しつつある中で、来年度以降も巨額の財源不足が見込まれ、このまま推移すれば財政再建団体に転落するという、危機的状況に依然としてあります。  十二年度予算は、財政再建推進プランの初年度に当たる予算であり、この中で示した基本的な考え方に基づき、都政の構造改革を着実に推進していく必要があります。同時に、現在東京が直面している危機を克服するため、東京再生に向けた政策の苗を植えていかなければなりません。  私は、こうした認識に基づき、十二年度予算の編成に当たっては、次の二つを基本といたしました。  第一は、財政再建推進プランに基づき、みずから厳しい内部努力を実施するとともに、すべての施策について聖域なく見直すことであります。  第二は、社会経済状況の変化を踏まえ、施策の再構築を図りつつ、新たな行政需要にも的確に対応することであります。  施策の見直しなどを通じて、都民の皆様にも我慢をお願いする以上、何よりもまずなすべきことは、都みずからの身を切るような内部努力であります。  このため、私は、全国で最も厳しい内容の、職員給与の削減を実施することといたしました。また、職員定数については、事業の民間委託、組織の統廃合をさらに進めるなど、事務事業の徹底した見直しを行い、十二年度で二千百三十八名を削減することといたしました。  施策の見直しについては、都の行うべきすべての事業をあらゆる角度から精査点検し、七十八事業について廃止または休止するとともに、新しい時代にふさわしい施策への再構築を図っております。  歳入確保策としては、資産アセスメント制度を導入し、都有財産の一層の活用を図るとともに、さらなる徴税努力をいたします。  使用料、手数料については、負担の公平を図る見地から必要な見直しを行い、四十条例三規則の改定を行うことといたしました。都議会並びに都民の皆様のご理解とご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。  国と地方をあわせた税財政制度の改善については、今回、義務教育教職員の給与費に係る財源調整について改善が図られました。地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟のご支援を初め、都議会と行政が一体となった努力が実ったものと考えます。国の税財政制度の抜本的改善は、一朝一夕に実現するものではありませんが、今後も強く国に働きかけてまいりたいと思います。  こうして編成した平成十二年度一般会計の予算規模は、前年度に比べて四・九%減の五兆九千八百八十億円で、十二年前の昭和六十三年度の水準である五兆円台となりました。また、特別会計と公営企業会計を加えた都全体の予算総額は、前年度に比べ四・五%減の十一兆七千七百九億円となっています。  今回の予算は、数字だけを見れば超緊縮型の予算ではありますが、私は、都政の抱える課題を先送りすることなく、構造転換に向けて踏み出した改革型の予算であると考えます。  十二年度予算においては、歳入歳出の両面にわたる徹底した見直しにより、約千九百億円の財源を確保することができました。しかしながら、それでもなお、三千二百億円を超える財源不足が生じたため、減債基金積み立ての一部計上見送りなど、臨時的な財源対策を講じております。これは、あくまで財政再建団体への転落という最悪の事態を回避するための緊急措置であり、財政再建は、いまだ緒についたばかりであります。景気が安定した回復軌道に乗り、都税の増収が図られるまでには、まだまだ時間を要する上、歳出の中には、構造的要因によって確実にふえていく経費や、公債費のように急増が見込まれる経費があり、今後も厳しい財政状況が続きます。  私は、引き続き、都議会並びに都民の皆様のご理解を得ながら、財政の構造改革に全力を挙げて取り組んでいく決意であります。  次に、財政再建の取り組みを堅持しつつ、新世紀の東京を創造するための政策展開について申し上げます。  二十一世紀を目前に、我が国の社会保障制度は大きく変わろうとしております。四月からは、いよいよ介護保険制度がスタートし、サービスの提供が措置から契約に変わります。今後は、民間などの多様なサービス提供事業者の参入が本格化するものと見込まれます。こうした変化は、これまでの行政が決定する福祉から、都民みずからが選択し利用する福祉への転換を促す、大きな流れにほかなりません。  昭和四十年代に骨格ができた都の福祉施策についても、社会経済状況の変化や国の施策の充実などを踏まえ、負担の公平、介護保険制度との整合性の確保などの観点から見直すとともに、在宅サービスを中心とする福祉サービスを充実し、新しい時代に適合する新しい変化が求められております。  私は今回、こうした観点を踏まえ、福祉の改革を進めることを決意し、その内容を十二年度予算案に盛り込み、従来の施策の抜本的な見直しを含めた、所要の条例改正案を本定例会に提案することといたしました。  限りある財源を、在宅サービスの充実や新しいニーズへのきめ細かい対応に重点的に配分するとともに、公平性の観点から、サービスの利用と負担のバランスの適正化を図ります。  また、区市町村が地域の実情に応じ、主体的、自主的に福祉施策を展開することができるよう、新たに包括補助制度を創設するとともに、重度の心身障害者のための二十四時間巡回型サービスや、特別養護老人ホームの経営支援策などを新規に実施いたします。  今回の改革は、新世紀を見据えた福祉社会を実現していくためのものであります。今後、区市町村と協力しながら、福祉施策の一層の量的、質的充実に努めてまいります。  平成二年には十人に一人であった東京の高齢者人口は、平成二十二年には五人に一人になると見込まれており、高齢者が暮らしやすい社会を実現することは、緊急の課題であります。  東京は、生活や文化の面で刺激を受ける機会の多い都市であり、働く場所や職種も豊富ですが、高齢者が生き生きと活動するための基盤整備は、まだ十分とはいえません。  私は、自立した生活の支援や、だれもが活動しやすいまちづくりなどを進めるとともに、元気で経験豊かな高齢者の能力を生かす仕組みづくりに努め、都市型高齢社会のモデルをこの東京でつくっていきたいと思っております。  急速な少子化の進行もまた、深刻な問題の一つであります。だれもが子育てに魅力や喜びを感じられる社会を実現することが必要であります。保護者の就労時間の多様化に伴うニーズにこたえるため、零歳児保育や延長保育の充実を図ってまいります。さらに、全国に先駆けて、私立幼稚園における早朝預かり保育などを支援してまいります。  都民がいつでも安心して医療サービスを受けられるよう、都立病院の改革を初めとする医療従事者の意識改革や、三百六十五日・二十四時間稼働の救急医療体制の構築など、医療の改革にも取り組んでまいります。  社会や家庭での活動に、男女を問わず一人一人に個性と能力を発揮する機会が確保され、男女が平等な立場で参画し、責任を分かち合う社会の実現を目指すため、男女平等参画基本条例案を本定例会に提案しております。  多様な文化や価値観、ライフスタイルを持つ人々が活動する東京では、多種多様な人権問題が生じています。このため、人権施策推進のための指針を七月に策定し、人権施策の基本理念及び施策の具体的内容を明らかにしてまいります。  今、社会を見ると、自分が何をしていいのかわからないまま、自己中心的で周りを顧みない子どもたちがふえています。  私は、心の東京革命を提起し、親と大人が責任を持って、子どもたちに社会で生きていく上での基本的なルールを伝えていく運動を展開してまいります。六月には、その具体的な取り組みを、心の東京革命取組方針・行動案としてお示しいたします。  二十一世紀の東京を切り開いていくのは、志と創造力を持った若者です。私は、まず他人を思いやる心を持ち、地域や国家、国際社会に目を向け、進んで公に貢献する志を持つ若者を育てていくことが必要と考えます。  また、画一的な教育の枠に子どもを押し込めるのではなく、個性、創造性を伸ばしていくことが必要であります。私は、時代をリードする創造力を備えた若者を育成することができるよう、教育改革を積極的に推進してまいります。  今回、教育の基本理念や理想を示した教育目標及び教育の基本方針について、その再構築を図っていくため、教育委員会において検討に着手することといたしました。  都立高校の入学選抜については、生徒がさらに自由に自分に合った学校を選択できるようにするとともに、学校間の競争を促すため、広く都民の意見を聞きながら、他学区からの入学者限度枠の拡大など、学区制の見直しを進めることといたしております。  都民に信頼される魅力ある学校を実現するためには、校長、教頭のリーダーシップのもと、責任ある学校運営体制を確立するとともに、教員の資質能力の向上と意識改革を進めることが重要です。このため、四月から、自己申告と業績評価の二つを柱とする新しい人事考課制度を実施するとともに、教員の新たな研修システムの構築と体制の強化を図っていくこととしております。  現在そして将来の都民の健康を守るためには、国の施策の強化を要請するだけではなく、地方自治体として、求められる施策を主体的に実施し、国や産業界を大きく動かしていくことが必要であります。また、環境の危機を克服するためには、生産、流通、消費、廃棄の各段階において、環境への配慮を徹底させていかなければなりません。  こうした視点に立って、四月から環境局を設置し、廃棄物、リサイクルをも含めた総合的な環境政策を展開することといたしました。特に、都民の命と健康を脅かしている自動車公害及び有害化学物質対策については、執行体制を強化し、先導的な取り組みを進めてまいりたいと思います。  今後、私は、東京の経済、社会の仕組みを持続的発展が可能な環境優先型につくりかえていくため、東京からの環境革命を全面的に展開してまいりたいと思います。  排ガス規制や軽油優遇税制など、ディーゼル車にかかわるこれまでの国の取り組みは、不十分であるといわざるを得ません。先月の尼崎公害訴訟判決は、幹線道路沿道での健康被害について、ディーゼル排気微粒子の関与が最も疑わしいことを指摘し、国の責任を認めた画期的なものであり、私は改めて、環境政策において、行政の迅速な対応がいかに重要であるかを認識いたしました。  先日、私は、ディーゼル微粒子除去装置の装着の義務づけや、ガソリン車等への代替の促進を図るため、ディーゼル車規制の検討案を取りまとめ、今後実施すべき具体的な規制の内容と、取り組みのスケジュールを明らかにいたしました。  また、化学物質による環境リスクを低減するため、都独自の有害化学物質管理制度を導入し、法に基づく取り組みを一層強化いたします。  近く予定されている東京都環境審議会の答申を踏まえ、本年中に公害防止条例を全面改正し、こうした先駆的な環境規制を実施してまいります。  緑地や農地の減少、森林の荒廃など、東京の緑は著しく失われつつあります。緑の充実は、ヒートアイランド現象の緩和や防災機能の強化、さらには、東京を世界に誇れる、潤いと風格のある都市とするためにも欠かせないものであります。東京が抱える問題を、緑の面から総合的にとらえ直すことが必要になっております。  このため、本年中を目途に緑の東京計画を策定し、東京の緑の望ましい将来の姿を描くとともに、取り組むべき方針や対応策を明らかにしてまいります。  また、丘陵地などの自然性の高い緑を保全するとともに、既成市街地での緑の回復に努めていくため、東京における自然の保護と回復に関する条例を本年中に全面改正いたします。  近年、産業廃棄物の不法投棄問題などから、廃棄物処理に対する不安感が増大しております。とりわけ東京は、多量の産業廃棄物を排出し、その処理の多くを他県に依存しております。このため、産業廃棄物の事業者処理責任原則を十分踏まえつつ、これまでより踏み込んだ公共の関与が求められております。  今後、都は、民間事業者が適正な処理を行うための環境づくりを進めるとともに、排出量が多く、リサイクルの進まない建設廃棄物の処理施設の整備を促進するため、都の保有する適地を実験的に民間事業者に貸与するなど、有効な方策を検討してまいります。  先月公表した世論調査の結果では、阪神・淡路大震災の直後に比べて、大地震への不安を強く感じている人は減少しており、都民の危機意識は風化しつつあることがうかがわれます。  さきの大震災では、家具の転倒防止など、ふだんの備えが不十分であったため、多くの犠牲者が発生し、住民自身による安全確保の重要性が明らかになりました。同時に、被災者の救援に当たっては、住民同士の助け合いが重要なかぎとなります。  このため、みずからの生命はみずからで守る、他人を助けることのできる都民へ、などの四つの考え方を基本とし、本年中に東京都震災予防条例を、制定以来初めて全面改正いたします。  また、災害の発生直後には、何よりもまず、迅速に初動体制を確立しなければなりません。警察、消防の救助活動に加えて、自衛隊の持つ総合的な機動力を生かすことにより、一人でも多くの都民を助ける体制を確保するため、本年九月三日、陸・海・空の三軍が統合して参加する総合防災訓練を実施いたします。  こうした取り組みに加え、災害に強い都市の構築を目指して、防災都市づくりを着実に推進するとともに、被災した場合の復興の進め方について、日ごろから準備しておくことが求められます。  震災後の東京の復興に当たっては、将来を見据え、被災を繰り返さない都市づくりを計画的に進めなければなりません。このため、震災復興グランドデザインを、十二年度を目途に発表いたします。  また、震災復興を円滑かつ効率的に進めるために、私権制限を含め、必要となる法的な課題について検討してまいります。  雇用や景気の低迷から脱却するためには、思い切った政策の転換が必要です。私は、中小企業の一様な保護育成を図ってきたこれまでの産業政策を転換し、すぐれた発想力や技術力を持つ、意欲ある中小企業や起業家の取り組みを支援してまいります。  ベンチャー企業や創業者に対し、経営面に対する指導、低廉なオフィスの提供などの支援を行い、新規成長産業の育成を図ります。  また、技術力や将来性などを評価する融資制度を創設し、物的担保力の乏しい中小企業の資金調達を支援いたします。来月発行するローン担保証券については、予想をはるかに上回る約千八百社の参加の申し込みがあり、七百億円程度の債券を発行いたします。  さらに、都内約一万社の中小企業のデータベースを構築しており、七月には、各企業が保有する技術や財務などの情報を全世界に発信してまいります。  現下の深刻な雇用危機を打開するためには、雇用吸収力を持つ成長産業の育成を図っていかなければなりません。こうした視点から、七月に策定する産業振興ビジョンにおいて、産業の活性化と新たな雇用創出の道筋を示してまいりたいと思います。  破綻した信用組合については、債権回収業務の整理回収機構への一元化、二次損失への対応などを強く国に要望してきましたが、今国会で、そのための法改正が審議される見通しとなり、これまで実施してきたコスモ信用組合の債権回収に関連する経費の支援については、十二年度予算への計上を見送りました。  信用組合の検査・監督事務は、四月から国へ移管しますが、信用組合は、中小零細企業の資金調達の円滑化を通じて、地域経済の安定に大きく寄与しているところから、その経営基盤の強化は、中小企業振興の上からも重要な課題であると考えます。私は、国の法改正の動向を踏まえ、十二年度中を目途に、信用組合の経営基盤強化のための施策を検討してまいりたいと思います。  都市間競争が激化する中、国際都市に最も必要とされる要素は、海外から、人、情報、投資を呼び込む魅力であります。都市に蓄積された、あるいは新たに創造される質の高い文化が、都市の活力と発展の源となる時代であります。  二十一世紀の東京を魅力ある都市にしていくためには、東京から世界に向けて文化を発信することが重要です。このため、十月を目途に、文化政策に関する基本指針を策定し、総合的、戦略的な取り組みの方向性を明らかにいたします。また、マネジメント機能を重視した文化施設の運営方法や、施設間の連携のあり方などを示してまいります。  空港、鉄道、道路などの都市基盤施設は、次世代に引き継ぐ財産ともなるものであり、その整備を進めることは、東京の高コスト構造を是正し、産業の活性化と国際競争力の向上を図る上で、極めて重要であります。  都市基盤整備に当たっては、こうした観点を踏まえつつ、厳しい財政状況の中で、限りある財源を効果的に活用するため、コスト縮減に努めるとともに、投資効果の高い事業を重点的に推進していくことといたしました。  平成十四年五月の供用開始を目指し、成田空港の暫定滑走路の工事が昨年末に着手されました。私は、首都圏の自治体の首長の一人として、円滑な工事の進捗を心から望んでおります。同時に、国際線の発着枠が絶対的に不足している現状を踏まえると、さらに羽田空港を思い切って活用する必要があると思います。  羽田空港の国際化については、関係者の間で既に取り組みが行われておりますが、都としても、都議会や国会とも連携しつつ、国際化の実現に向けて取り組んでまいりたいと思います。また、年内には、羽田空港の有効活用など、首都圏の増加する航空需要などに対応する、都の基本的な取り組み方針を明らかにいたします。  横田基地については、軍民共用化を想定した民間機の利用形態、環境に対する影響や、まちづくりへの効果など、さらに詳細な調査を実施して、横田基地の民間利用を考える会での検討を進めつつ、世論の喚起を図り、国への働きかけを強化してまいります。  東京の交通を円滑化するためには、公共交通の整備が大切であります。同時に、道路交通容量の拡大のみならず、交通需要の調整に踏み込んだ取り組みを進めていかなければなりません。  鉄道の整備については、地下鉄大江戸線が四月二十日、新宿-国立競技場間で一部先行開業し、十二月には全線開業いたします。三田線延伸部は九月に開業いたします。  また、鉄道サービスの質的向上の面では、都営と営団の地下鉄駅出入り口の案内標識を統一し、大江戸線から導入してまいります。今後も、案内サインなどの改善を含め、利便性の向上に努めていきたいと思います。  道路網の整備については、通過交通の都心部への流入を避けるため、東京外郭環状道路を初めとする、いわゆる三環状道路の整備促進に取り組んでまいります。東京外郭環状道路については、現在、地元の団体に対して話し合いを呼びかけているところであり、今後とも、国及び地元自治体との連携を図りつつ、計画の具体化に努めてまいります。また、環状八号線、山手通り、明治通りなどの重点的な整備に取り組みます。  自動車の効率的利用、公共交通への利用転換など、交通需要の調整を総合的に進め、効率のよい移動ができる都市を形成していくため、先日、交通需要マネジメント東京行動プランを策定しました。十二年度には、駐車マネジメント推進のための社会実験を実施するとともに、ロードプライシングについて、条例制定に向けた検討を現在進めております。  多摩地域の都市づくりについては、調布保谷線、府中所沢線などの南北方向の道路整備や、JR中央線の連続立体交差事業などに重点的に取り組んでまいります。  都内に残された貴重な緑地でもある、多摩サービス補助施設については、直ちに返還されるよう、最も重点的事項として国に要望しております。地元とも連携しながら、具体的な利用案を作成し、国に対し働きかけてまいります。  多摩は、豊かな自然と大きな発展の可能性を持つ地域であります。私は、こうした都市づくりの進展や今後の課題をにらみながら、地域の個性や独自性を生かした多摩の将来像を、十二年度に策定いたします。  また、島しょ地域については、島民の生活安定、向上のために、航空路を初めとする交通体系の充実などを図ってまいりたいと思います。  次に、都市間の連携と協働に向けた取り組みについて申し上げます。  半世紀以上にわたる自治権拡充運動が結実し、四月から新たな都区制度がスタートいたします。改革の実現に向けてご尽力いただいた、都議会を初めとする関係者の皆様に、改めて心から感謝を申し上げます。  都区財政調整については、改革実施後の事業運営に支障が生じないよう配慮しながら、特別区の自主的、計画的な財政運営に資するための新たな制度を構築いたしました。清掃事業の移管についても、円滑な移管の実施に向けて最終的な取り組みを進めております。いずれも、関係条例の改正を本定例会に提案しております。  地方分権一括法が、四月に施行されます。本来の分権改革は、明治以来の中央集権型の行政システムを根底から変革し、地域の課題に関する地域住民の自己決定権を基本として、個性豊かで活力に満ちた地域社会の創造を図るものであります。しかしながら、今回の分権改革は、国から地方への権限移譲が不十分であるとともに、税源の移譲が先送りされるなど、多くの重要な課題を残したままになっております。  東京において分権改革をさらに進めるため、都区制度改革のみならず、本年九月を目途に第二次東京都地方分権推進計画を策定し、都から区市町村への一層の権限移譲を提案してまいります。  三千三百万の人口を擁する東京圏は、イギリスやイタリア一国に匹敵する百五十兆円程度の生産額を生み出す、世界に例を見ないメガロポリスを形成しております。しかしながら、慢性的な交通渋滞、職住分離、国際空港の容量の絶対不足といった課題を抱え、その潜在的な力を十分に発揮できてはおりません。このことが、日本の経済の低迷と国際的地位の低下など、現在の日本の危機にもつながっております。我が国の政治、経済、文化の中心である東京圏の再生を図ることは、国全体の活力や競争力を回復に導く上で極めて重要であります。
     今月初め、国においても、東京都の取り組みと軌を一にして、都市再生推進懇談会が設置され、私は、他の七都県市の首長とともに、東京圏の現状と都市再生の課題について各界の識者と意見を交わしました。  私は、首都機能を担う七都県市が、それぞれの区域を超えた圏域全体のあり方について、互いに知恵を出し合うなど、連携を一層深めていくことが重要と考えております。  二十一世紀は、全人類の半数以上が都市を中心に活動すると予測され、都市の世紀ともいわれております。世界人口の半数を超すアジアにおいて、さまざまな都市問題の解決に向け、代表的な都市が連携、協力して取り組むことは、世界的にも大きな意義があります。このため、アジア大都市ネットワークの構築に向け、準備会議を早期に開催し、環境問題への対応、文化の発信や文化産業の育成、災害時の相互支援体制の確保、都市づくりに関する技術、人材交流など、実質的な事業展開のあり方を多角的に検討してまいります。  次に、平成十一年度補正予算案について申し上げます。  この補正予算案は、国の経済新生対策の実施に伴う第二次補正予算などに合わせ、経済の活性化や貸し渋り対策などに取り組むとともに、公共交通機関の整備について適切な対応を図るものであります。同時に、都税収入の減少に伴う対応、国の緊急雇用対策に係る経費など、予算上必要な措置を講じることといたしました。  新しい千年紀の幕あけとなる平成十二年度予算案は、私が手がけた最初の予算であり、都政の方向を大きく転換する、幾つかの果敢な提案を盛り込んだつもりでございます。都議会の皆様と、東京の確かな未来をともに切り開いていくための真摯な議論を重ね、議会と行政が一体となって、この難局を乗り越えていきたいと思っております。  また、私は、ことしを東京発の地方主権元年と位置づけ、自治体がみずからの責任で主体的に施策を展開する時代への確かな第一歩を、都民の皆さんとともに踏み出していきたいと思っております。  地方主権の担い手は、いうまでもなく都民の皆さんです。都民一人一人が、私たちの地域、私たちの東京、そして私たちの日本の将来を、主体的に深く切実に考えることから、新しい変革の歴史が始まるのだと確信しております。  改めて、皆様のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。  なお、本定例会には、予算案三十六件、条例案百四十三件、契約案十五件など、合わせて二百六件を提案しております。よろしくご審議をお願い申し上げます。  以上をもちまして、私の発言を終わります。  ありがとうございました。(拍手) ◯議長(渋谷守生君) 以上をもって知事の発言は終わりました。      ━━━━━━━━━━ ◯議長(渋谷守生君) 次に、警視総監より、都内の治安状況について発言の申し出がありますので、これを許します。  警視総監野田健君。    〔警視総監野田健君登壇〕 ◯警視総監(野田健君) 都内の治安状況についてご報告いたします。  まず初めに、東京都議会の皆様には、平素から警視庁の運営の各般にわたって格別のご高配を賜っているところであり、心から御礼を申し上げます。  さて、昨年は、天皇陛下御在位十年記念式典等各般の警備を初め、多発した犯罪の捜査、地域安全活動及び交通安全対策の推進など、数多くの重要課題に直面いたしましたが、都民の皆様のご理解とご協力のもと、警視庁の総力を挙げて、首都の治安維持と都民生活の安全確保に取り組んでまいりました。  以下、その状況についてご説明申し上げます。  初めに、犯罪捜査活動についてであります。  犯罪の凶悪化、広域化、国際化に加え、組織化、スピード化、そしてハイテク化が一段と進展している中で、昨年の都内における刑法犯の認知件数は、前年に比べて六・七%増加し、過去最高の約二十六万八千件を数えました。  特に昨年は、全日空機ハイジャック・機長殺害事件を初め、白昼の繁華街で発生した通り魔殺傷事件、幼女殺人・死体遺棄事件などの衝撃的な重要特異事件が相次いで発生し、殺人、強盗等の凶悪犯の発生が前年を一二・三%上回ったほか、侵入窃盗やひったくり等の重要窃盗犯も、一九・九%の大幅な増加を見たのであります。  こうした厳しい犯罪情勢に対し、当庁では、史上最多の三十六件の特別捜査本部を開設して懸命の捜査活動を展開したほか、凶悪犯及び重要窃盗犯についても重点的な捜査活動を推進した結果、特別捜査本部開設事件二十三件を検挙し、殺人事件の八九・八%を検挙、解決することができました。  また、金融・不良債権関連事犯については、平成八年から開設中の金融機関関連事犯特別捜査本部を中心として、預金保険機構、証券取引等監視委員会等の関係機関と連携し、大手銀行元頭取らによる証券取引法及び商法違反事件、外資系銀行東京支店長らによる銀行法違反事件等三十件、百人を検挙いたしました。  このほか、過酷な債権取り立てが社会問題にまで発展した、いわゆる商工ローンに絡む貸金業規制法違反及び恐喝事件を検挙し、また、宗教法人に絡む詐欺事件で強制捜査に着手するなど、社会の耳目を引く大型事件についても、捜査の徹底を図っているところであります。  当庁としては、本年も引き続き徹底した捜査活動を推進して、都民生活の安全確保に全力を尽くしてまいる決意であります。  次は、国際組織犯罪対策についてであります。  昨年中に当庁が検挙した来日外国人被疑者の数は、前年を八・三%上回る四千三百四十五人で、このうち、刑法犯として検挙した者は千七百三十四人であります。この数は、すべての刑法犯検挙人員の三・六%に相当いたしますが、殺人、強盗等の凶悪犯に限ると、来日外国人被疑者が占める割合は一一・一%に上っており、来日外国人犯罪の凶悪化傾向が顕著に認められます。なお、凶悪犯で検挙した来日外国人被疑者の六七・九%を中国人が占めております。  最近の来日外国人犯罪は、組織化が一段と進行した結果、母国において既に犯罪組織の実体を持つと考えられる集団の構成員が、犯罪による莫大な収益を目的として我が国に入り、密入国者、不法滞在者等を手足として各種犯罪の実行に及ぶという形態が目立ってきております。しかも、このような犯罪組織の多くは、国内の暴力団等と結びついて、けん銃や薬物の密輸、密売にも関与していることがうかがわれ、国境の壁も法律も意に介することなく、各種の犯罪行為を繰り返している実態にあります。  犯罪行為の内容としては、出入国管理法違反のほか、強・窃盗や薬物犯罪が主なものでありますが、最近では、ピッキングという小型の工具を用いて錠前を開く手口の侵入窃盗や、プリペイドカード、クレジットカードの偽変造及びその行使、変造外国通貨を用いた自動販売機荒らしなど、犯罪の多様化が目立っております。その上、犯行に際し、けん銃や刃物を携行、使用する点や、強盗等の凶悪犯罪についても、従来と異なって日本人を直接ねらう傾向が進んでいる点など、極めて危険な兆候が認められます。  このような情勢に対し、当庁では、国際組織犯罪特別対策本部の統括のもとに、国際捜査課、国際組織犯罪特別捜査隊等関係部署が一体となって、重点地区を中心に、組織を挙げた諸対策を推進しており、その成果が着実に上がってきております。本年は、さらに、全国警察及び関係各機関、外国治安機関とも緊密な連携を図るとともに、二月一日に施行された組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律を初め、あらゆる法令を適用して、資金の流れや組織の系統など、活動実態を解明し、もって国際犯罪組織そのものの壊滅を目指した防圧、検挙に取り組んでまいります。  次は、暴力団対策についてであります。  都内の暴力団勢力は、約六百五十組織、約一万六千人で、組織数及び構成員数とも、ほぼ横ばいの状態で推移しておりますが、国内最大の勢力を保持する山口組が傘下組織の都内定着を進めている中で、各種の利権をめぐって緊迫した状況が続いております。昨年中の暴力団によるけん銃発砲事件は、前年を九件上回る三十三件発生し、まことに残念ながら、一般市民二人を含む四人が殺害されたのでありますが、このうち十六件が、山口組と在京暴力団との抗争に起因するものでありました。  一方、企業の真剣な取り組みなどによって資金の獲得が困難になった暴力団、総会屋等は、同和関係団体や右翼団体を名乗ったり、いわゆる貸し渋り対策として設けられた中小企業安定化特別保証制度を悪用したりするなど、巧妙な手段を講じて資金獲得を図っております。  このように、依然として予断を許さない状況が認められることから、当庁としては、山口組を最重点として取り締まりの徹底を期するとともに、暴力団対策法の効果的運用及び暴力団排除活動の一層の推進を図ったところであります。その結果、対立抗争事件に伴うけん銃発砲事件の現場で、警戒員が山口組系暴力団組員を現行犯逮捕したのを初め、債権回収に絡む競売入札妨害事件、総会屋等による利益供与要求事件など、各種の法令を積極的に適用して、山口組構成員五百二十八人を含む約六千四百人の暴力団員を検挙し、あわせて、武器庫の摘発等により、けん銃百十八丁を暴力団関係者から押収いたしました。  暴力団対策法の運用については、現在指定暴力団として指定しております五団体約五千五百人の動向把握を徹底して、昨年中は、過去最多の三百十二件に上る中止命令、再発防止命令を発出し、命令違反事件を検挙いたしました。また、六月一日以降、山口組小西一家と国粹会生井一家との間に、関東一円で十六件、うち都内では九件のけん銃発砲を伴う大規模な対立抗争事件が発生した際には、厳戒態勢をしくとともに、都内国粹会本部事務所等三カ所に対し、本法の施行以来初めての事務所使用制限命令を発出して、不法行為の封じ込めに努めたのであります。  暴力団排除活動については、暴力団追放運動推進都民センターとの連携のもとに、地域、職域における暴力団追放キャンペーンを幅広く展開し、十八組織を解散、壊滅に追い込んで、組事務所三十八カ所を撤去させました。さらに、総会屋等による商法違反事件を検挙する一方で、引き続き各企業に暴力団排除を強く働きかけ、企業と暴力団、総会屋等との関係遮断の徹底を図ったのであります。  当庁としては、本年も、広く都民の皆様のご支援を得て、暴追センターを初め、関係機関、団体と連携しながら、暴力団の壊滅に向けて諸対策を推進してまいります。  次は、銃器、薬物対策についてであります。  けん銃等の銃器及び覚せい剤、麻薬等の薬物については、近年、暴力団及びこれと結びついた国際犯罪組織が、これらの密輸、密売に深く関与している実態にあります。そこで、関係各部門相互の緊密な連携のもとに、末端の所持者、使用者の大量検挙を進めるとともに、突き上げ捜査を徹底して、犯罪組織の中枢に迫る取り締まりを反復、継続してまいりました。  その結果、昨年は、暴力団関係者からの押収を初め、ガンマニア、外国人等から総計二百三丁のけん銃を押収し、また、覚せい剤については、大量密輸入事件の摘発等により、過去十年間の押収総量に匹敵する約五百十四キログラム、末端価格で約三百億円相当を押収したのであります。しかしながら、このように大量の薬物を押収したにもかかわらず、末端価格に著しい変化が認められないことにより、国内の薬物市場の巨大さがうかがわれるところであります。  当庁としては、引き続き捜査体制の整備強化に努め、この夏に施行が予定される犯罪捜査のための通信傍受に関する法律等各種法令を適正に運用して、取り締まりの徹底に努めるとともに、銃器、薬物の一般社会への拡散を食いとめるべく、関係機関、団体等との協調のもとに、総合的対策を展開してまいります。  次は、ハイテク犯罪対策についてであります。  コンピューターテクノロジーの著しい発展と、インターネットを中心としたネットワークの拡大は、社会生活上さまざまな利便をもたらしておりますが、その一方で、情報通信技術を悪用する犯罪が多発しております。  当庁では、こうした新たな形態の犯罪に対処するため、昨年五月にハイテク犯罪対策センターを設け、インターネットを悪用した詐欺や名誉毀損、わいせつ図画販売等で三十二件五十四人を検挙したほか、捜査支援や各種相談への対応に努めました。さらに、ハイテク犯罪の防圧と秩序あるネットワークづくりを目指して、コンピューターネットワーク関連事業者等との幅広い連携を図るために、ハイテク犯罪対策協議会を設立するなど、総合的な諸対策を講じてまいりました。  そして本年二月十日には、不正アクセス行為の禁止等に関する法律の施行に合わせて、旧センターを発展、強化させたハイテク犯罪対策総合センターを生活安全部の附置機関として新たに設置し、取り締まり及び諸対策の一層の推進を図っているところであります。  しかしながら、本年に入って、中央省庁等のコンピューターに侵入し、ホームページを違法に書きかえるなどの不正アクセス事件が連続発生しており、ハイテク犯罪をめぐる情勢には、まことに厳しいものがあります。  当庁としては、同センターを中核として、引き続き捜査体制の整備拡充及び事案対応能力の向上に努め、高度情報化社会の発展に不安を投げかけるこの種の犯罪の防圧、検挙に全力を尽くしてまいります。  次は、少年非行総合対策の推進についてであります。  昨年の都内における非行少年補導人員は約一万六千人で、前年と比較して約千七百人の減少となっております。しかしながら、非行の実態を見ると、暴走族など少年の非行を助長する集団によるリンチ殺人事件や強盗事件等の凶悪犯、少年によるひったくり事件が増加しているほか、覚せい剤等の薬物事犯や少女売春も依然として後を絶たず、楽観の許されない状況にあります。  このような中で、当庁は、昨年三月、少年育成課と少年事件課を設置するなど、少年警察体制を強化いたしました。また、少年犯罪の厳正な取り締まりと並行して、東京都教育庁を初め、教育機関やPTA等との連携により、少年の規範意識の醸成を図るとともに、地域の非行助長集団の実態把握及び補導活動を強化した結果、昨年中は、暴走族十八グループを解体いたしました。  また、関係行政機関や少年警察ボランティアを初め、地域の皆様と一体となって有害環境浄化等の諸対策に取り組むとともに、少年少女を食い物にする悪質な犯罪に対しては、児童福祉法、青少年保護育成条例等の関係法令を厳格に適用して、積極的な取り締まりを行っているところであります。特に、昨年十一月には、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の施行に合わせて取り締まり本部を設置し、これまでに、児童買春違反事件で三件二人を検挙しております。  当庁としては、二十一世紀を担う青少年の健全な育成を期し、広く都民の皆様のご理解とご協力のもとに、少年に対する一声運動を積極的に展開するなど、引き続き少年非行総合対策の推進に全力を注いでまいります。  次は、交通安全対策についてであります。  昨年中の都内における交通事故死者数は三百九十八人を数え、七年ぶりに前年を上回ったほか、発生件数、負傷者数とも引き続き増加傾向にあって、交通情勢は極めて厳しい局面を迎えております。  死亡事故の特徴を見ますと、年齢別では六十五歳以上の高齢者が二五・四%、次いで二十五歳未満の若年層が一六・六%を占めております。事故の原因としては、ドライバー側では、ハンドル・ブレーキ操作のミスや安全不確認などの不注意が、また、歩行者側では、横断禁止場所の横断や信号無視などの基本的な交通ルールの無視が目立っております。  このような情勢に対し、当庁では、昨年年頭から実施してまいりました、99交通死亡事故STOP作戦に引き続き、十月から、都知事の交通事故危機緊急メッセージと連動して、交通死亡事故抑止のための三カ月対策を推進いたしました。具体的には、交通違反取り締まりの強化とあわせて、各自治体を初め、関係機関、団体との連携のもとに、交通安全教育、広報啓発活動、交通安全施設の整備拡充など、総合的な対策を強力に展開し、その結果、危機的な事故急増傾向に歯どめをかけることができたのであります。  本年は、シートベルト及びチャイルドシートの使用の徹底等各種施策による重大交通事故防止対策の推進に努めるとともに、マイカーから公共輸送機関へと乗りかえを促進する公共車両優先システムや自動車排気ガスの取り締まり体制の整備拡充等に努めまして、重大交通事故の抑止と、安全で快適な交通社会の実現を目指してまいります。  次は、警備活動についてであります。  極左暴力集団各派は、引き続き武装闘争方針を堅持して、非公然軍事部門の強化を図っております。昨年は、成田空港暫定滑走路建設問題の進展に危機感を強め、同空港に向けた飛しょう弾の発射事件や、運輸省幹部、空港関係者、さらには千葉県議会議員宅への放火事件など、首都圏で九件の凶悪なゲリラ事件を引き起こしております。  一方、右翼は、歴史認識をめぐる論議や教育問題、北朝鮮のミサイル発射問題等、内外の諸問題に反応して、政府その他の関係機関に対する抗議、要請行動を活発に展開しております。昨年は、日本教育会館や国会議員事務所への車両突入事件等、都内で四件のゲリラ事件を敢行いたしました。  当庁では、こうした情勢の中で、警戒警備の徹底によるテロ、ゲリラ事犯の未然防止に努めるとともに、取り締まりを強化し、革マル派の非公然アジトを摘発したほか、NTT顧客データ漏えい事件で同然の活動家二人を検挙するなど、非公然活動家十六人を含む極左七十人、右翼四十六人を検挙いたしました。  本年は、七月の九州・沖縄サミットに向けて、極左各派が、沖縄の米軍基地移設問題を絡めて反対闘争の盛り上げを図っており、参加各国大使館が集中する都内においても、テロ、ゲリラ等不法事犯の発生が懸念されるのであります。当庁としては、これらに加え、国際テログループの動向にも十分な注意を払いながら、都内における警戒警備の徹底に向けて、また、沖縄県への部隊派遣に向けて、全力をもって取り組む決意であります。  次は、オウム真理教対策についてであります。  オウム真理教は、社会の強い批判をよそに、ここ数年来、パソコンの製造販売等を中心に財政基盤の強化を図る一方、新規信者の勧誘工作を初め活発な活動を展開しております。当庁では、都民の皆様の不安を解消すべく、最大限の注意を払って教団の動向把握に努めてまいりました。その過程で昨年は、長野県下の教団施設における監禁事件について、同県警との合同捜査により教団幹部ら二人を逮捕するなど、法令を厳正に適用して積極的な取り締まりを行ってまいりました。  同教団は、昨年九月のいわゆる休眠宣言以来、サリン事件被害者への謝罪、補償等に言及しつつ、名称を「アレフ」と改め、代表者を変更するなどして、教団にはもはや危険性がない旨を主張しております。しかしながら、この間にも当庁では、教団の財政担当幹部を強迫容疑で逮捕したほか、教団関連企業の移転に伴う電磁的公正証書原本不実記録事件を摘発するなど、同教団の反社会的本質には何ら変化がないことを明らかにいたしました。  今後は、昨年末に施行された、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律の適正な運用について、公安調査庁、警察庁を初め関係機関との連携を図りながら、引き続き、教団の動向の的確な把握と、違法行為の積極的な取り締まりに努めてまいります。  次は、地域に密着した警察活動の推進についてであります。  交番、駐在所は、地域における安全、安心のよりどころとして、その果たすべき役割はますます重要性を増しており、各地域の皆様からも、その運営に関するご意見、ご要望が数多く寄せられております。  当庁では、交番所長、交番相談員の配置を初め、都市部における駐在所の増設など、その機能の充実強化を図るとともに、昼夜の別なく発生する事件、事故に迅速的確に対応する必要から、勤務員の時差出勤等により柔軟な配置運用に努めてまいりました。また、最先端のハイテクシステムを導入した通信指令センターを中心に、合理的かつ効率的な指揮命令を徹底して、都民の皆様の安全確保に努めているところであります。  また、地域の皆様に最も身近な存在である交番、駐在所の特性を生かしながら、ふれあい連絡協議会の活性化や、「ともに築こう安全な街」活動に取り組んでいるところであります。あわせて各地域においては、防犯ボランティア組織の結成促進やその中核となる人材の育成等を図りつつ、これらの組織との合同による各種キャンペーンや防犯パトロールなど、幅広い活動を展開してまいりました。  さらに本年は、弱い立場にある女性や子供を対象とした相談や防犯指導に力を入れるとともに、身近な暴力や悪質な迷惑行為等の適正な取り締まりに努めるなど、地域の皆様のご要望に根差し、かつ、地域に密着した積極的な警察活動を推進してまいります。  次に、犯罪被害者対策についてであります。  犯罪や交通事故により被害を受けた方々に対する支援のあり方について、社会的な関心が急速に高まってきております。  当庁では、犯罪等の被害者やその家族が受ける精神的な被害その他さまざまな負担を軽減し、その支援を進めることは、警察が本来果たすべき重要な責務であると考えております。その上で、被害者接遇のための相談室や車両の整備、犯罪被害者ホットラインによる相談受理、女性警察官を活用した性犯罪捜査員や被害少年サポーターの運用、そして職員に対する指導教養など、ハード、ソフトの両面にわたる総合的な対策を講じてまいりました。また、被害者支援の拡大と充実を図り、従来以上に細やかな対応が可能となるよう、関係機関、団体や都民各層のご協力のもとに、地域単位での被害者支援ネットワークの構築を進めてまいりました。  本年は、担当警察官を指定して被害者の初期支援に当たらせる制度を導入するなど、被害者対策の一層の充実を図るとともに、この四月に設立される予定の被害者支援都民センターとの連携により、被害者支援の輪の拡大とその内容のさらなる充実を図ってまいります。  以上、都内の治安情勢について申し上げましたが、本年も数多くの課題が山積しており、首都東京の治安を取り巻く諸情勢には、極めて厳しいものがあります。  警視庁としては、今後とも、これら重要課題の一つ一つに全職員が真っ正面から取り組み、都民の視点に立った治安の確保に全力を尽くす決意であります。  東京都議会の皆様には、警察活動を取り巻く諸般の状況についてご理解いただき、警視庁に対する一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の治安状況報告を終わらせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手) ◯議長(渋谷守生君) 以上をもって警視総監の発言は終わりました。      ───────────── ◯議長(渋谷守生君) 次に、監査委員より、監査結果の報告について発言の申し出がありますので、これを許します。  監査委員小山敏雄君。    〔九十六番小山敏雄君登壇〕 ◯九十六番(小山敏雄君) 監査委員を代表いたしまして、過去一年間における監査結果の概要について、ご報告を申し上げます。  最近の都政は、史上かつてない深刻な財政危機の中で、都庁みずからが厳しい自己改革を果たすとともに、首都東京の責務として、山積みする難題を解決し、都民の期待にこたえていかなければならない状況に直面しております。  そのような中において、東京都は、財政再建推進プランや危機突破・戦略プランなどを策定し、徹底した内部努力を含めた行財政改革に取り組んでいるところであります。  私たち監査委員は、このような都政と都政を取り巻く状況を念頭に置いて、各種事務事業が適切な規模、内容を持って、効率的で効果的に運営され、その目的を十分に達成しているかどうかに留意しつつ、予算が適正かつ効率的に執行されているかについて、各種監査を実施してまいりました。  その結果、予算及び各種事務事業は、全体として適正に執行されているものの、なお、一部に是正改善すべき事項が見受けられましたので、合計二百三十七件の指摘をするとともに、公営企業や出資団体における事業運営状況等に関して、二十三件の改善・要望等の意見を表明した次第であります。  以下、具体的な事例を挙げながら、監査種別ごとにご報告申し上げます。  最初に、財務監査について申し上げます。  財務監査は、財務に関する事務の執行及び経営に関する事業の管理について、年一回定例的に実施するもので、本庁の各部及び三百三十九カ所の事業所を監査いたしました。  平成十年度執行分の財務監査では、宿泊を伴う近接地外旅費について事前書面監査を実施いたしましたが、全件適正に執行されていることを確認いたしました。  また、重点監査事項として、行政財産の目的外使用、電子計算機、普通・小型・軽四輪自動車の契約状況を設定し、監査を実施いたしました。  その結果、支出関係については、窓清掃に使用しているゴンドラを、実際に使用するのは年四回であるにもかかわらず、年六回の保守管理を委託しているため、二回分の経費十五万千六百二十円の支出が不経済となっているもの、事業用地の管理委託契約において、巡回ごとに、一カ所について一枚提出することとされている記録写真の数が過少となっているなど、履行確認が適切に行われていないものなど、事務処理に適切を欠くものや、経済性、効率性の面から、問題のある事務処理が行われているもの、あわせて二十五件を指摘いたしました。  次に、収入関係について申し上げます。  時効中断、停止事由が発生したにもかかわらず、消滅時効が完成したとして不納欠損決議を行っているもの、河川敷地を個人に対して占用許可しているにもかかわらず、占用料の調定が行われていないものなど、収入の確保に適切を欠くもの、二十件を指摘いたしました。
     このほかに、財務監査では、財産の管理等に適切を欠くものなど九件を指摘しております。  次に、工事監査について申し上げます。  工事監査は、都の施行している工事が適正に行われているか、技術面を主眼にして実施するものでありますが、この一年に二千四百二件、一兆四百二十六億円に上る工事を監査いたしました。  その結果、有明清掃工場焼却炉補修工事におけるごみ投入ゲートの駆動部上側軸受け補修費について、ゲート本体の取り外し及び再取りつけ費を含めて積算したため、積算額が約二百六十一万円過大となっているものなど二十二件について指摘いたしました。  以上、財務監査及び工事監査について述べてまいりましたが、両監査において指摘した収入不足や不経済支出の金額を合計いたしますと、七千八百四十五円となっております。  これらの指摘事項については、各局において、早急に是正改善されるよう求めているところであります。  次に、行政監査について申し上げます。  行政監査は、都の事務及び執行機関の権限に属する機関委任事務の執行について、特定の事務事業がその目的を十分に達成しているか、効率的な事業執行が行われているかなどを主眼として実施しているものですが、平成十年度においては、消費者保護、都立病院の患者サービス、職業能力の開発・向上の三項目について実施いたしました。  まず、消費者保護ですが、広域的に被害が発生している消費者相談の処理を、適切かつ統一的に行うための相談実務メモが、区市町村の消費生活センターなどへ発信されていない事例があることなどから、情報提供体制を整備するよう求めたものなど二十八件を指摘するとともに、都民の消費生活を健康で安全かつ豊かなものとするため、消費者行政をより一層強力に推進するよう求めております。  次に都立病院の患者サービスですが、医療を行う上で生じる倫理上の諸問題について審議、検討するための倫理委員会が、年に一回も開催をされていない病院があることから、その開催についての検討を求めたものなど二十五件を指摘するとともに、四件の意見、要望事項を付し、都民の期待にこたえ、より一層効果的、効率的な病院運営と適切な患者サービスの提供に努めるよう求めております。  次に、職業能力の開発・向上ですが、能力開発訓練評価委員会の提言において、訓練基準の見直しが必要などとされた科目について、見直しの行われていない科目があることから、早期に訓練科目を見直すよう求めたものなど三十三件を指摘するとともに、関係行政機関、民間部門との連携協力を強化して、職業能力開発行政のなお一層の推進に努められるよう求めております。  平成十一年度においては、補助金について実施いたしました。  その結果、社会教育関係団体に対する補助について、補助金の対象団体のとらえ方や交付方法等に改善を図る必要があることが認められたことから、補助のあり方について検討するよう求めたもの、安全性及び有効性の確認を要すると認められる医薬品を対象に実施する備蓄医薬品試験検査事業に対する補助について、有効期限を過ぎた医薬品についても補助対象としていることが認められたことから、補助金の支出方法について検討するよう求めたもの、中高年者サークルの地域活動に対する補助について、参加者等が負担すべき経費についてまで補助対象としていることなどが認められたことから、補助内容について検討するよう求めたものなど二十五件を指摘するとともに、十件の意見、要望事項を付し、補助事業の見直しの徹底、今回の問題点の解消、及びその時代のニーズに適した適正かつ効率的、効果的な執行に努められるよう求めております。  続いて、財政援助団体等監査について申し上げます。  財政援助団体等監査は、都が補助金等の財政援助を与えている団体、資本金などの四分の一以上を出資している団体などについて、財政援助等の目的に沿って事業を適正かつ効率的に執行しているかどうか、また、団体の所管局に対して、団体への指導監督が適切に行われているかどうかを主眼として実施されているものでありますが、この一年間に二百五十九の団体及びその所管局について監査を実施いたしました。  その結果、看護婦等養成所への運営費補助について、補助対象軽費の算定に誤りがあったことなどから補助金額が過大となっているもの、経理規程で契約手続を行うべきとされている課以外の課が契約手続をとっているなど事務手続に適正を欠くものなど、一部の団体及び所管局に三十六件を指摘するとともに、経営状況に関して、より一層効率的な事業運営に努める必要があるなど、二件の意見、要望事項を付しました。  次に、平成十年度決算審査について申し上げます。  決算審査は、知事から依頼を受けました歳入歳出決算書等につきまして、決算計数に誤りはないか、予算執行について、法令に従って効率的に行われているかなどに主眼を置いて審査手続きを行うものです。  審査の結果、出納長所属各会計につきましては、財産に関する計数の一部を除き、誤りのないことを確認いたしましたが、依然として都税収入の大幅な伸びが期待できない状況にある一方、少子高齢社会への備えなど、都民の負託に適時適切にこたえることが求められていることから、事務事業のさらなる見直しを行うことはもとより、スリムで効率的な執行体制と強固で弾力的な財政体質を確立し、新たな都民ニーズに柔軟かつ的確に対応できるよう、なお一層努める必要があるなどの意見を付しました。  また、公営企業各会計につきましては、中央卸売市場会計において、卸売市場法等の改正等に適切に対応するよう意見を付したほか、交通事業会計など三会計について意見を付しました。  最後に、住民監査請求について申し上げます。  住民監査請求は、住民が執行機関や職員による財務会計上の行為に違法または不当な行為があると認めるとき、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずることを請求するものでありますが、この一年間に十七件を処理いたしました。  請求内容の内訳は、補助金や旅費などの公金支出に関するもの十二件、公金の賦課徴収を怠る事実に関するもの三件、その他二件となっております。  また、その処理状況は、請求人の主張に理由があると認めて、措置すべき事項を執行機関に勧告したもの三件、違法、不当とする請求人の主張には理由がないことから棄却したもの六件となっております。また、都の財務会計上の行為に当たらないものなど、地方自治法上定められている請求の要件を欠いていることから、監査を実施せず、いわゆる却下したものが八件となっております。  以上、監査結果について述べてまいりましたが、執行部局においては、これら監査結果に十分留意し、今後の事務の適正かつ効率的な執行に一段の努力を望むものでございます。  また、昨年九月に、監査の結果に基づいて知事等の執行機関が講じた措置で、知事等から通知があったもの二百六十八件について、その内容を公表いたしました。  これは、一昨年に引き続き二回目となりますが、知事等が講じた改善策を速やかに都民に明らかにすることにより、都政の透明性を高め、都政に対する信頼性の向上に寄与するものと考えております。  ところで、地方自治法の改正に伴い、平成十一年度より外部監査制度が導入され、東京都も、去る二月三日に初めての外部監査結果報告書を受け取りました。今後、外部監査人の監査と監査委員の監査が、それぞれの役割を果たしつつ、監査機能がより一層充実強化されることが求められております。  私たち監査委員といたしましても、このような状況を十分認識し、都の行財政運営の適正性、有効性、効率性並びにその透明性の向上を図るべく、今後とも、監査業務の遂行に万全を期してまいる所存でございます。  以上をもちまして監査結果の報告とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ◯議長(渋谷守生君) 以上をもって監査委員の発言は終わりました。      ━━━━━━━━━━ ◯六十七番(鈴木一光君) この際、議事進行の動議を提出いたします。  本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十四日から二十八日まで五日間、議案調査のため休会されることを望みます。 ◯議長(渋谷守生君) お諮りいたします。  ただいまの動議のとおり決定することにご異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ◯議長(渋谷守生君) ご異議なしと認めます。よって、本日の会議はこの程度をもって散会し、明二十四日から二十八日まで五日間、議案調査のため休会することに決定いたしました。  なお、次回の会議は、二月二十九日午後一時に開きます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後二時三十分散会 一一財主議第五六〇号 平成十二年二月十五日          東京都知事 石原慎太郎  東京都議会議長 渋谷 守生殿    文書質問に対する答弁書の送付について  平成十一年第四回東京都議会定例会における左記議員の文書質問に対する答弁書を別紙のとおり送付します。      記    山本  信議員    藤田十四三議員    大河原雅子議員    吉田 信夫議員    和田 宗春議員    坂口こうじ議員    三原 將嗣議員      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 山本  信 質問事項  一 教員志望学生の介護体験を受け入れている福祉施設への支援について 一 教員志望学生の介護体験を受け入れている福祉施設への支援について   福祉施設での実習生、介護体験の受入れは引き続き大きな課題を抱えています。今回は一九九八年から始まった介護体験の受入れへの支援に絞って質問します。   一九九八年四月一日から教員免許状の取得要件に「介護体験」を加えることを内容とする「小学校および中学校の教諭の普通免許状授与に係る教員職員免許法の特例に関する法律」が施行されました。具体的には、福祉施設で五日、盲・聾・養護学校で二日の介護体験を教員を志望する学生に義務付けるものですが、施行に当たり、受入れ側の福祉施設・盲・聾・養護学校には「介護体験に関し必要な協力をおこなうよう努める」ことを求めるだけで、対応に必要な支援策はつくられませんでした。   これまでも、福祉施設は、多数の福祉系の実習生をうけいれ、介護など利用者の処遇にあたる職員の犠牲的な兼務によってこれに対応してきました。実習受入れへの支援は関係者の切実な願いになっています。   このため、介護体験受入れに当たって、東京都社会福祉協議会の老人福祉部会は、一九九七年の八月に東京都に対して申し入れをおこない、新たな介護体験の受入れに際しては「専任職員の配置」などを強く要望しています。   わたしも、一九九八年の第一回定例会本会議質問で、福祉人材養成における実習の重要性を指摘し、支援策を求めたところです。   こうしたなかで一九九八年四月からは、教員志望学生の介護体験が現実にはじまり、二年目に当たる今年度上半期だけでも、都立の福祉施設で十一人、民間も含めると二百二十二の福祉施設が、百二十八校から五千八百五十人の教員志望学生の介護体験を受入れ、最終的には年間一万五千人に達することが予想されています。   圧倒的多数の介護体験者を受入れた民間福祉施設からは、福祉系学生の実習とは違うことでの戸惑い、学生の姿勢の問題、証明書発行などの事務の負担など、大きな苦労と負担を何とかしてほしい、せめて、コーディネーターを配置してほしいなどの声が上がっています。   福祉施設の本来の業務とは別の教員養成という役割を求める以上、新たな役割に対応するための人的配置などを保障することは、制度を作った国の責務ではないでしょうか。  1 都立の施設でも介護体験を受入れていますが、利用者の権利擁護などのためにも専任のコーディネーターの配置などの措置をとるべきです。答弁を求めます。  2 また、都立に増しても厳しい条件にある民間福祉施設での介護体験などの受入れの実情を把握するべきと考えますがどうでしょうか。  3 そのうえで、施設関係者から切望されているコーディネーターの配置などの支援策について検討すべきと思いますが所見を伺います。  4 この介護体験の制度は、本来、法律でつくられたものであり、国の責任での対策が急がれることは当然です。国に支援策をとることを求めるべきと考えますが、どうか。答弁を求めて質問を終わります。  以上      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    山本信議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 教員志望学生の介護体験を受け入れている福祉施設への支援について   1 都立の施設でも受け入れているが、利用者の権利擁護などのためにも専任のコーディネーターの配置などの措置をとるべきだが、答弁を求める。 回  答   都立福祉施設では、民間福祉施設と同様、介護福祉士やホームヘルパー養成のための実習を行っているほか、平成十一年度からは、教員免許取得のための介護体験を受け入れています。   介護体験の受け入れに当たっては、指導員等を担当職員に充てて必要な調整を行うなど、施設利用者の処遇等に影響しないよう配慮しているところです。 質問事項  一の2 都立にも増して厳しい条件にある民間福祉施設での介護体験などの受入れの実情を把握すべきと考えるが、如何か。 回  答   介護体験の制度では、東京都社会福祉協議会が受入施設の窓口になっており、受入施設の割振りや調整のほか、受入施設に対するアンケート調査などを実施し、介護体験の受入れの実情を把握しております。 質問事項  一の3 実情を把握したうえで、施設関係者から切望されているコーディネーターの配置などの支援策について検討すべきと思うが、所見を伺う。 回  答   教員志望学生の介護体験については、国の通知を踏まえ、受入施設の側で必要な経費を徴収しており、これにより、介護体験の受入れに伴う事務の負担増等については、対応がなされているものと考えています。 質問事項  一の4 この介護体験の制度は、法律でつくられたものであり、本来、国の責任で対策が急がれるべきだ。国に支援策をとることを求めるべきだと考えるが、如何か。 回  答   介護体験は、教員免許という個人の資格取得に関わるものであり、教員志望学生を送り出す大学など教員養成機関と受入施設との連携の下で実施体制の調整が図られるべきものと考えています。
         ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 藤田十四三 質問事項  一 介護保険制度について  二 市場行政について 一 介護保険制度について   介護保険制度の実施まで、あと四ヶ月となりましたが、ここに至って、政府は自民、自由、公明の与党三党の申し入れを受け、いわゆる特別対策を実施することを決めました。しかるに、その内容は、これまで指摘してきた、介護サービス基盤の抜本的拡充などの制度の基本的問題の解決を先送りしただけでなく、保険料の半年間の徴収凍結や家族介護に対する現金の給付など、介護の社会化という介護保険制度の理念にも逆行するのみならず、まさしく、介護保険制度を根底から覆すものであり、国民を愚弄する「選挙目当て」の改悪以外の何ものでもなく、決して認めることはできません。   また、介護保険は保険者となる区市町村が主体的に、まさに手作りで制度を作る、地方分権の先駆けとも位置づけられるものです。これに対し、今回の「特別対策」は、一切地方自治体の意見を聞くこともなく、いわゆる永田町の倫理と自民党など与党三党だけの目先の利害だけで決められています。この点から言っても、介護保険の基本理念に反するものであります。こういった基本的視点に立ち、四点について都の対応等を伺います。  1 第一に、今回の特別対策はこれまで懸命に準備を進めてきた区市町村の努力に水をさすものでもあります。多くの区市町村が困惑しているとの声を聞きます。まず、区市町村や都にとってどのような影響が考えられるのか、明らかにして頂きたい。  2 第二に、既に都内では、十万件を超える要介護認定の申請があり、準備も大詰めを迎えています。今回の「特別対策」に伴う対応も含め、区市町村ではさらに負担が増すことになります。悲鳴に近い区市町村の声があがっているのも事実であります。    知事は制度実施に向け万全の体制をとると述べていますが、具体的に区市町村にどう支援するのか、所見を伺います。  3 第三に、介護サービス基盤の抜本的拡充についてお尋ねいたします。    介護保険制度を円滑に実施するためには、介護サービス基盤の充実が不可欠であることは、誰もが異論のないところです。まして、介護保険になれば、サービスの利用希望がより顕在化することは明らかであります。    今回の「特別対策」に要する国の諸経費は約一兆円ですが、仮に、これを特別養護老人ホームの整備に充てると、定員百人規模の特養を、約四百作ることができ、一挙に、全国の特養待機者の解消が図れることになります。    制度への信頼を確保し、保険あっての介護なしとしないためにも計画的かつ緊急な基盤整備が求められております。都としても、具体的な基盤整備緊急五ヶ年計画ともいうべきものを早急に策定し、介護サービス基盤の整備に取り組むべきと考えますが決意の程をお示し願いたい。  4 最後に、政府案を実施するに当り、予想される都の財政支出について何点か質問いたします。   ア 家族慰労金について    a 政府案に基く都の対象者はどれほどと想定しているか。      「前年度ホームヘルプサービスを受けていない」ことと前提した場合、申請書は殆どゼロに近いものとならないか。その見通しはどうか。    b 区市町村が家族介護慰労金を選択した場合、その財政負担は国が二分の一、都と区市町村が四分の一ずつとなると思うが都の財政支出はどの程度と想定しているか。   イ 低所得者層のホームヘルプサービスの利用料三ヶ年三%削減について    a 負担免除の対象者はどの位になると考えているか。    b 三ヶ年間三%削減の期間、七%分は都全体でどの程度の金額になり、それを国が二分の一、都と区市町村が四分の一ずつ持ち合うことになることは必定であるが、その場合都の財政支出はどの程度と予測しているか。それぞれ明らかにされたい。   ウ 第二号被保険者の保険料について    a 都の職員共済健保の保険料はどの位になるか。    b いわゆる「労・使折半」という観点からみた都の財政支出をどの程度と見積もっているか。    以上の諸点について明確な答弁を求めます。 二 市場行政について   市場法の改正などを機に、市場業界は今、抜本的な体質改善に取り組んでいます。市場の重要性が変らない一方で、年々増加する市場外流通に対抗した販売促進活動の強化が求められており、そのためには積極的な情報化投資が必要であるなど、まさに自らの生き残りをかけた大変革の時期に直面していることは言うまでもありません。   そうした中で今回、市場当局は一六%の市場使用料の値上げを提案し、市場業界を含め関係方面と協議中であり、協議が整えば十二月二十一日の市場審議会に付議し、その後に二〇〇〇年第一回定例会に市場使用料の値上げを正式提案する意向であると聞きます。   周知のとおり、市場当局は市場の財政が慢性的な赤字体質に陥っており、平成十年度末の累積欠損金が百三十七億円に達したとして、「このまま推移すると多額の累積欠損金が生じ、施設の補修・改良ができなくなるなど、今後の市場運営や施設整備に多大な影響が生じる」ことを明らかにしています。   言うまでもなく、市場施設はいずれも老朽化が進んでおり、防災上の観点からもきめ細かなメンテナンスが欠かせない。また、時代の変化に伴って新たな都民ニーズが発生しており、施設の近代化に向けた投資も今後ますます必要となることは自明であります。まさにこうした状況下で当局は、そのような対応が財政的に困難になると言っているのであります。これは、市場関係者のみならずすべての都民にとって由々しき事態であるといわなければなりません。   ところが、この点について当局はあっさりと「今回の提案では平成十一年度までの累積欠損金は対象としないこととする」と述べているのみで、その結果がどうなるかについては何の説明もしていません。これは市場の将来展望を欠いた無責任な態度であると言わなければなりません。   勿論、この累積欠損を解消するためには使用料の改定率を八七%にしなければならない。そんな改定は無理だから「現下の市場業者の経営環境を考慮して」棚上げにする、と言っている点は、業界に対する一応の配慮としてうけとめられるものの、市場業界にしてみれば、こうした言わば根っこの問題を棚上げ・先送りして目先の料金改定を行っても、それにどれほどの意味があるのかという根強い不満がある。市場がこの先どうなっていくのか、行政がどのような将来ビジョンをもっているのかという点について、業界あげて大きな期待と不安を抱いて見守っているのである。従って、それが示されないままこの値上げに応じても、この先同様の値上げが際限なく繰り返されるだけではないか、二進も三進もいかなくなった時点で大幅な負担増を求められるのではないか、と疑心暗鬼の状態で、当局に対する不信感を募らせているのであります。  1 今後我が国は、これまで長く続いた、右肩上がりの経済成長を前提とした社会経済構造から、自助自立を目指し、安定を求める成熟型社会へとその構造を改革していかなければならない。成熟型社会の中で市場の果すべき役割とそのあり方を踏まえて、当局は速やかに堅実な将来展望を示すべきであり、本来、それが議論の前提となるべきと思うが、この点について第一に市場当局の基本的な認識を示して頂きたい。    次に、今回提案された一六%の改定案について少し具体的に検討してみると、市場当局のまさに内部努力を欠いた杜撰な積算であることを指摘せざるを得ません。この立場から、何点か市場当局の見解を質します。    当局は今回、平成十二~十四年度の三年間の収益的収支に着目して、その間の差引不足額の合計三十四億円を改定所要額として一六%の改定が必要と説明している。    問題は、財政収支見通しに計上された費用のうちの「管理費・業務費」の額であります。    収支見通しではこれを、十二年度百三十五億円、十三年度百三十四億円、十四年度百三十三億円とそれぞれ計上しており三ヶ年合計では四百二億円となっている。これだけを見ると、他の費用、例えば減価償却費等が増加傾向である中で、管理費・業務費については企業努力によって毎年一億円ずつ逓減させていく、この努力の跡を見てほしいと言わんばかりであります。    ところが、同時に示された十年度決算を見ると、十年度の管理費・業務費は百十八億円なのである。これは一体どういうことか。仮に十二年度以降を、十年度決算レベルに抑えたとすれば、三年間の合計は三百五十四億円となり、差引不足額は逆転して十四億円の黒字となり、当局の提案と説明に従えば、値上げの必要は全くなくなるのであります。    念のため、この百十八億円が決算ということで消費税分を含んでおらず、一方収支見通しは予算ベースで消費税分を含むとしても、三年間の合計は三百七十二億円で、差引不足額は四億円に止まり、使用料の値上げをしなくとも、当局の努力によって十分解消が可能な額であると考えられるのであります。もし、私の推定どおりこの二枚の資料の間で消費税分の扱いが異なっているとすれば、使用料の改定という重要案件の説明資料として、適切を欠くものであると断ぜざるを得ません。会計上の規定がどうあれ、説明資料はまず分かりやすく、判断の誤りなきよう作成するのが基本中の基本であり、この点からも杜撰な積算であることを重ねて指摘せざるをえない。  2 更に、これまで私が縷々述べてきたように市場業界はあげて、生き残りをかけた厳しい体質改善、経営の合理化に努めているのである。それに対して市場当局が、十年度には百十八億円で運営できた管理経費を、十二年度以降一五%も増加させると見込むこと自体が不見識である。まして東京都は、財政再建推進プランに基づいた内部努力の徹底に取り組んでいる時期にひとり市場のみが聖域であろうはずがないのであります。あえて、この際市場当局の猛省の弁をお聞きしたい。    加えて、一般会計との関係について言えば、市場当局は、自治省が示しているいわゆる繰出基準のみをその拠り所として、補助金の増額や出資金の復活を要望しているようであるが、そもそもの法の精神と繰出基準の位置づけとをしっかり検証してみてほしい。繰出基準に書かれているからと言って、一般会計は何らの義務を負っている訳ではないとする財務当局と本気になってわたりあう決意があるのか。このハードルをこえることができるのか。断わっておくが、私は、市場に対する一般会計の財政支援が現状で十分だと言っているのではない。むしろ市場の持つ役割の重要性に鑑みれば極めて不十分と認識しているからこそこのことを強く求めるものであります。  3 今後、市場当局が一般会計に対して財政支援の増額を求めるためには、単なるプログラム要求であってはならない。先に述べたように、来たるべき将来の展望を自ら確立し、市場をどうしたいのか明確な絵柄で都民に訴え、その中で、累積欠損をどう解消するのか、市場の近代化を図るために何が必要かをきちんと提示して、それらすべてを連結した議論の中で一般会計との役割分担を論じ、もって適切な財政負担を求めるという理詰めの取組みこそが市場当局の不動の姿勢でなければならないし、それこそが都民の理解と支援を獲得できる道である。市場当局の毅然たる態度に示して頂きたい。  4 最後に、一九九九年十二月市場業界のひとつである東京青果協会が深沢正昭会長名で大矢市場長に次のような要望書を提出しています。 平成十一年十二月十四日       東京青果協会会長 深澤 正昭  東京都中央卸売市場長 大矢  實様    東京都中央卸売市場使用料改定に対する要望について  日頃格別の御指導、御配慮を賜り厚く御礼申し上げます。  この度、貴職より市場使用料を来年四月より一六%値上げする旨のお申し越しがあり、内容の説明を受けている最中に改定の手続が進行するという、大変残念な状況に立ち至っています。  もとより、市場財政が多額の赤字を抱え、この解消のために市場使用料を値上げしたいとの説明については、一応理解は出来ますが、平成三年をピークに、その後取扱高が減少、停滞したため、経営不振が続く青果業界にとって、提案どおり実施されれば、経営を悪化させ、市場信用を失墜させる要因になりかねないとの懸念が強くあります。  また先般、市場法が改正され、来年度施行に向けて規程の整備が進められ、規制緩和と業界及び業者に自助努力を求められることとなりました。この変革に対処し、生き残るためには卸も、仲卸も、小売も思い切った体質改善を図る必要に迫られています。それだけに、この貴重な時期での値上げは、業界の体質改善にブレーキをかけ、経営の近代化を遅らせることになります。  この差し迫った青果業界の苦しい実情を御理解賜り、今後とも消費者に生鮮食品を適正価格で安定供給する使命を遺憾なく発揮できますよう、下記要望の実現方について、格段の御配慮を切にお願い申し上げます。        記 1 上記事情と激変緩和を考慮し、今回の値上げ率を一〇%(消費税二%含む)以下に抑え、二年度に分けて改定してほしいこと。 2 営業活動に直接関係ない小売商組合事務室等については、減額措置を講じてほしいこと。 3 都市場事業の運営に当っては、将来とも市場会計として収支均衡を図れるよう、更に格段の努力をされたいこと。  以上    この要望書にふれてお尋ねいたします。    要望書に記述された青果業界全体の、まさに「叫び」とも言うべき経営の実情をどううけとめるか。    要望事項1、2、3について如何なる見解をもちどう対処するつもりか所見を伺う。   前回、値上げ問題を検討する際に、私はその重要な時期に出された東京青果協会の要望書を、本問題解決の足がかりにすべく進言したにもかかわらず、当時の宮城市場長以下市場幹部は一顧だにしなかったことが、最終本会議で市場使用料値上げにかかわる全議案否決という深刻な事態につながったことを改めて紹介し事態の解決のために、今こそ市場当局が市場業界並びに関係者の意向を謙虚にうけ入れるよう重ねて要望しておきます。      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    藤田十四三議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 介護保険制度について   1 国が実施を決定した特別対策は、区市町村の努力に水をさすものであり、その多くが困惑している。区市町村や都にとって、どんな影響が考えられるか、伺う。 回  答   今回の特別対策について、区市町村では、従来から準備を進めてきた保険料に関する事務処理システムの手直しや、特別対策によって生じた変更点を住民に周知することなど、準備への影響が生じました。   都としては、こうした状況の変化を踏まえ、平成十二年四月の制度実施に向け、区市町村と一体となって万全を期してまいります。 質問事項  一の2 要介護認定の作業に加え、今回の「特別対策」の対応により、区市町村ではさらに負担が増すことになる。知事は制度実施に向け、万全の体制をとると述べているが、具体的に区市町村にどう支援するのか、伺う。 回  答   特別対策については、迅速に情報の収集に努め、速やかに区市町村へ的確な情報提供を行いました。また、他の道府県とも連携を図り、国の責任のもと万全の措置を講じるよう要望を行いました。   都では、今後とも、要介護認定の状況を踏まえ、区市町村と十分協議をしながら、円滑な実施に向け取り組んでまいります。 質問事項  一の3 介護保険制度を円滑に実施するためには、介護サービス基盤の充実が不可欠である。都としても、具体的な基盤整備緊急五ヶ年計画ともいうべきものを早急に策定し、介護基盤の整備に取り組むべきと考えるが、伺う。 回  答   都では現在、基盤整備の目標を設定するための介護保険事業支援計画の策定に取り組んでいるところです。   去る平成十一年十月二十九日に公表した、この計画の素案を元に、今後、区市町村との連携を密にしながら、広域的調整を行い、平成十六年度までに整備すべき、介護保険施設と在宅サービスについての目標を具体的に明らかにし、介護サービス基盤の整備のために区市町村を支援していきます。 質問事項  一の4 政府案実施に当たっての都の財政支出について     ア 家族慰労金について      a 政府案に基づく都の対象者はどのくらいと想定しているのか、伺う。        また「前年度介護保険サービスを受けていない」ことを前提とした場合、申請書はほとんどゼロに近いものとならないか。        さらに、その見通しはどうか、併せて伺う。 回  答   政府案に基づく、家族慰労金の支給対象は1)要介護度4又は5、2)住民税非課税世帯、3)介護サービスを一年間利用しないこと、となっています。   国が示した「ワークシート」によれば、要介護度4又は5に相当する方は、都全体で二万八千百七十人となり、また住民税非課税世帯の割合は、三二・六%と推計されます。従って、対象となる要介護度4又は5で住民税非課税世帯に属する方は、約九千二百人と推計されますが、この家族慰労金の事業は、区市町村の選択により行われる事業であり、更に一年間介護サービスを利用しなかったことを要件とするため、具体的な申請者は、現時点では把握しがたいと考えています。 質問事項  一の4のアのb 区市町村が家族介護慰労金を選択した場合、その財政負担は、国が二分の一、都と区市町村が四分の一ずつとなると思うが、都の財政支出は、どの程度と想定するか、伺う。 回  答   この家族慰労金の事業は、平成十三年度予算に計上されるものであり、また財政負担の割合も現在国で検討しているため、現時点で都の財政支出を想定するのは困難です。
    質問事項  一の4のイ 低所得者層のホームヘルプサービスの利用料三ヶ年三%負担について       a 負担軽減の対象者はどのくらいになると考えているか、伺う。 回  答   政府案によれば、負担軽減の対象者は、概ね施行前一年の間にホームへルパーの派遣実績があり、国の現行の費用徴収基準において費用徴収額がゼロ円の階層となっています。   十一年度末における都内のホームヘルプサービスの利用者を、十年度の実績と十一年度に入ってからの新規利用者数から推計すると、約六万人となります。   また、このうち国の基準で費用負担なしの方の割合は、約七割と推計されます。これらの方々が引き続きサービスを利用すると仮定し、更にこれから、平成十年度要介護認定モデル事業で対象外(自立)となった方の割合七・三%を除くと負担軽減の対象者は、約三万九千人と見込まれます。 質問事項  一の4のイのb 三ヶ年間三%負担の期間、七%分は、都全体でどの程度の金額になるのか。また、それを国が二分の一、都と区市町村が四分の一ずつ持ち合うことは必定だが、その場合の都の財政支出は、どの程度と予測しているのか併せて伺う。 回  答   国は、ホームヘルプサービスに係る利用者負担の軽減措置に要する費用として、約四十八億円を見込んでいますが、仮に東京都における対象者を約三万九千人とした場合、国と同様に算定すると、都の財政負担は約三億円と見込まれます。 質問事項  一の4のウ 第二号被保険者の保険料について       a 都の職員共済健保の保険料は、どのくらいになるか、伺う。 回  答   介護保険料は、厚生省令に基づき、各年度ごとに社会保険診療報酬支払基金より通知されることになっており、これに基づき、各共済組合が定款で介護保険料率を定めることになっています。   平成十二年度の保険料については、現在のところ通知を受けていませんが、厚生省の平成十二年度予算概算要求時における第二号被保険者一人当たりの負担見込額は、年額二万八千九百三十円となっています。これに基づき、東京都職員共済組合における平成十二年度の介護保険料率を試算すると、千分の八・三となります。 質問事項  一の4のウのb いわゆる、「労・使折半」という観点からみた都の財政支出をどの程度と見積もっているのか、伺う。 回  答   介護保険料の負担割合は、第二号被保険者の対象となる組合員(掛金)と事業主(負担金)でそれぞれ百分の五十となっています。仮に、介護保険料率を千分の八・三とした場合は、事業主としての都の負担金率は、千分の四・一五となり、東京都職員共済組合に対する都の平成十二年度負担額は、おおよそ十億四千万円と見込まれます。 質問事項  二 市場行政について   1 成熟型社会の中で、市場の果たすべき役割とそのあり方を踏まえ、当局は速やかに堅実な将来展望を示すべきであり、本来、それが議論の前提となるべきと思うが、市場当局の基本的認識を伺う。 回  答   近年、産地の大型化や市場外流通の拡大など、市場を取り巻く環境が大きく変化している中で、中央卸売市場が今後とも期待される役割を果たしていくためには、ご指摘のとおり、流通環境の変化に対応した将来の市場のあり方を示し、健全な財政計画の下に、着実に施策を実施していくことが必要であると考えています。   このため、平成十三年度に策定を予定している第七次卸売市場整備計画の中で、市場の将来を見据えた、ハード・ソフト両面にわたる市場運営の考え方を示していく考えです。 質問事項  二の2 市場当局は、平成十二年度から平成十四年度までの三年間の収益的収支見込みから、三十四億円、一六%を改定所要額としているが、これを十年度決算レベルに抑えたとすると差引不足額は四億円となり、内部努力で解消可能な額である。市場業界が、厳しい体質改善、経営合理化に努め、都は、内部努力の徹底に取り組んでいる時期に市場のみが聖域であるはずはない。見解を伺う。 回  答   三年間の収支見込みは、事務事業の見直しなどの内部努力を最大限織り込みつつ、市場を継続的かつ円滑に運営していくために必要な経費を計上しました。   管理費及び業務費の十年度決算と十二年度見込みの差については、消費税分のほか、十年度が決算額であるのに対し、十二年度は予算要求額であることによるものです。   その主な内容は、人件費と施設管理費・営繕費の増であり、責任ある予算編成の立場から、所要の経費を厳しい精査の上見積もった結果です。   市場の財政運営に当たっては、これまでも一般会計を上回る定数削減など厳しい経費節減を行ってきましたが、今後とも経費を不断に見直して、さらに経営努力を進めていく考えです。 質問事項  二の3 市場当局は、補助金の増額、出資金の復活などを一般会計に要望しているようだが、将来の展望を確立し、市場をどうしていくのか、また、累積欠損をどう解消し何が必要かなど、すべてを連結した議論の中で一般会計との役割分担を論じ、適切な財政負担を求めることが必要であるが、伺う。 回  答   累積欠損金については、今後、定数削減をはじめ管理費及び業務費の削減や投資額全体の抑制など一層の内部努力、市場の適正配置の考え方による将来の再編又は統合などにより、中長期的に解消していく考えです。   また、一般会計との役割分担についても、引き続き、市場の重要な役割に理解を求め、これまでにもまして、一般会計の適正な負担を強く求めていきます。 質問事項  二の4 中央卸売市場使用料改定に対する要望書に記述された青果業界全体のまさに「叫び」ともいうべき経営の実状をどう受け止めるのか、また、要望事項1、2、3について、いかなる見解を持ち、どう対処するのか、伺う。 回  答   要望書については、青果業界を取り巻く厳しい経済情勢の表れであると受け止めています。今後、東京都卸売市場審議会の答申及び附帯要望をも踏まえ、関係方面と協議を重ねて、対応を検討していきます。      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 大河原雅子 質問事項  一 ペット問題について 一 ペット問題について   盲導犬や警察犬、災害救助犬などの活躍はもとより、障害者向けの生活介助動物まで訓練される時代になり、人社会への動物たちの貢献はさらに領域を広げています。高齢化、核家族化の進行する中で、犬や猫などペットが、人生の伴侶動物(コンパニオン・アニマル)として、人の生活を精神的に支える不可欠な存在となっている事例も多くみられるようになりました。さらに、高齢者や障害児者への心理療法や動作療法に積極的に使い、動物を介した人の心の健康づくり(アニマルセラピー)という新たな評価も高まりつつあります。人と動物の絆が強まる傾向が今後ますます拡大することは確実です。   こうした現状を反映してか、空前のペットブームが訪れており、まちにペットショップや動物病院なども多くなりました。飼い主からは、これらは単にペットフードなどの販売や病気の治療に止まらず、動物の適正な飼養等のための相談機関としても期待されています。しかし一方では、施設管理上の問題から起こる近隣からの苦情、従業員の知識不足等から起こる飼い主とのトラブルなど、この業種に関する問題も多発しつつあると聞いています。そのため、保健所や消費者センターへも多岐にわたる相談が寄せられています。人々の合意に基づく社会的なルールによって解決する事項も多くありますが、都としても新たなルールづくりなど動物行政の新展開が必要との観点から、以下の質問をします。  1 人と動物が共生する社会づくりのためには、まず動物も人と同様に尊厳を守られなければならないという認識から始まります。このような観点を、現行の「動物の保護及び管理に関する法律」と都条例はどのように取り入れているのでしょうか、伺います。  2 ペットショップやペットホテルなど動物取扱業について、昨年度都として初めての実態調査を実施したと聞いています。これらの業種が今後望まれる社会的な役割に照らして、現状の課題と問題点をどのように認識しているのか、伺います。  3 動物取扱業全体の平均的な水準の向上のためには、指導基準の設定や専門知識の普及促進などが求められるが、都としてこの課題にどのように対応していくのか、伺います。  4 現在の都の条例では、業者が購入者に対して飼育方法や不妊去勢の推進などの情報を説明することについて規定されていません。飼育者責任の観点からも、書面による義務づけなども今後検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。  5 動物病院における高額医療費請求や診療による死亡などによるトラブルも起きています。この問題の根本的な解決に向けての基本は、獣医師の動物飼育者に対するインフォームドコンセントです。この課題についてはどのように対応しているのでしょうか、また、今後この課題を徹底させるための方策について伺います。  6 今後、契約上のトラブルなども含めた消費者相談が増えることも予想されます。行政に求められる機能の一つとして、消費者相談窓口と関係機関との連携があると考えますが、いかがでしょか。  以上      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    大河原雅子議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 ペット問題について   1 人と動物が共生する社会づくりのため、動物も人と同様に尊厳を守らなければならないという観点を、現行の「動物の保護及び管理に関する法律」と都条例は、どのように取り入れているのか、伺う。 回  答   現行の「動物の保護及び管理に関する法律」では、基本原則として、動物の習性を考慮して適正に取り扱うことが規定されています。また、この精神は、東京都動物の保護及び管理に関する条例にも取り入れられています。 質問事項  一の2 都は昨年度、ペットショップやペットホテルなどの動物取扱業について初の実態調査を実施したが、これらの業種に今後望まれる社会的役割に照らし、現状の課題と問題点について、伺う。 回  答   動物取扱業者には、動物の適正飼育推進の担い手としての役割が期待されています。しかし、都が実施した実態調査では、動物取扱業者の中に動物の飼養施設が不備なものや取扱いが不適正なものが見受けられました。   今後、動物取扱業者を指導育成していく必要があると考えています。 質問事項  一の3 動物取扱業の平均的な水準の向上のため、指導基準の設定や専門知識の普及促進などが求められるが、都として、この課題にどう対応していくのか、伺う。 回  答   平成十一年三月の東京都動物保護管理審議会の答申では、動物取扱業者を指導育成していくために、指導基準の整備や講習会の充実などが提言されました。   都はこの提言を受け、条例改正も視野に入れ、動物取扱業者を指導していきます。 質問事項  一の4 現在の都の条例では、業者が購入者に対し、飼育方法や不妊去勢の推進などの情報を説明することについて規定されていない。     飼育者責任の観点からも、書面による義務づけなどを、今後検討すべきと考えるが、如何か。 回  答   動物の適正飼育を普及させるためには、動物取扱業者が顧客等に対し、パンフレットなどを用いて分かりやすく説明することが大切です。そのため都としては、購入者への説明責任を条例に盛り込むことも含め、動物取扱業者の指導育成策を検討していきます。 質問事項  一の5 動物病院における高額医療費請求や診療による死亡などのトラブルには、獣医師の、動物飼育者に対するインフォームドコンセントが必要だが、この課題についてはどう対処しているのか。また、今後この課題を徹底させるための方策も、併せて伺う。 回  答   獣医師が動物の飼い主に対して行うインフォームドコンセントについては、国の指導により、日本獣医師会が都道府県獣医師会を通じて、会員である獣医師を指導し、その徹底に努めております。   また、東京都は、動物病院開設者を対象に毎年二回行っている講習会の際、獣医療におけるインフォームドコンセント講座を実施するとともに、飼育動物診療施設開設者ハンドブックを作成し、都内の全動物病院に送付し、インフォームドコンセントの重要性の周知徹底を図っているところです。   今後とも、この課題の徹底のため、東京都獣医師会を指導していくとともに、動物病院開設者に対する啓発に努めてまいります。 質問事項  一の6 行政に求められる機能の一つとして、消費者相談窓口と関係機関との連携があると考えるが、如何か。 回  答   ペットにかかる消費者相談については、東京都消費生活総合センターにおいて適切な助言を行うとともに、関連情報を提供したり関係機関を紹介しております。   今後とも、関係機関とも連携しながら、消費者からの相談に適切に対応してまいります。      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 吉田 信夫 質問事項  一 深夜営業展開する大型ディスカウント店の規制について
    一 深夜営業展開する大型ディスカント店の規制について   大型ディスカウント店ドン・キホーテが深夜営業を展開し、近隣の住環境に重大な影響を及ぼす事態が都内各地で広がっている。   株式会社ドン・キホーテは、大規模小売店舗法で規制される一千平方メートルギリギリの店舗面積で深夜の零時、三時、さらに最近では二十四時間営業し、車両の出入りなど深夜、早朝まで環境を脅かし、各地で近隣住民からの苦情が多発している。   例えば八王子市の京王堀之内店は、届け出閉店時間の午後十二時を一度も守らず、開店以来午前三時まで営業をつづけており、隣接するマンション住民などからは深夜も周辺を煌々と照らす店の照明や出入りする車のエンジン音、ドアの開け閉め音などで「安心して夜も眠れない」という訴えが出されている。   杉並区方南一丁目にもドン・キホーテが店舗面積九百九十六平方メートル、駐車場二百五十六台の大型店の出店を計画しているが、当該地は住宅地であり、そこに二十四時間の営業展開をしようとするものである。都内の他店の例からも、こうした計画が強行されればいまでも深刻な環状七号線の渋滞に拍車をかけるとともに、二十四時間営業によって、車の出入りなどで四六時中周辺の住環境はそこなわれ、住民の安眠も妨げられる結果となることは明らかだ。   それだけに、近隣商店街、周辺住民のなかで出店反対の運動が広がっており、杉並区議会は住民の要望をうけてドン・キホーテ環七杉並店の白紙撤回を都が同社に要請するよう求める意見書を東京都に提出している。   またすでにドン・キホーテ店が早朝五時まで営業している足立区では、足立区議会が周辺環境の悪化を招く店舗等の深夜営業の早期規制を求める意見書を都に提出するなどの動きも広がっている。   東京都として、こうした周辺住民と区議会の声にこたえ、近隣の住環境を脅かす深夜営業の大型店を厳しく規制することを求め、以下質問する。  1 環七杉並店の出店計画をめぐっては、周辺住民と商店会、杉並区議会の意思を東京都としても重く受け止めるべきであり、住民の声を無視して出店が強行されることがないよう都として対応すべきと考えるがどうか。  2 住民の健康で安全かつ快適な生活を確保することは東京都の責務である。平穏な住宅地に二十四時間営業の大型店が出店し周辺住民の住環境を脅かすという新たな事態がひきおこされつつあるとき、こうした事態にたいして住環境を守る立場から東京都として新たな規制策を講ずるべきと考えるがどうか。  3 すでに重大な社会問題化しており、新たな対策を検討するうえでも、既設店舗の実態、周辺住環境への影響、近隣住民の要望などの実態調査を都として至急行うべきと考えるがどうか。  4 新規出店への規制だけでなく、すでに営業している既設店舗にたいしても、周辺の住環境を確保する立場から厳格な対応をとることが求められている。    ドン・キホーテの場合、届け出閉店時間をこえた深夜営業の展開をはじめ本来の届け出や東京都の指導をも無視した営業展開が少なからず行われてきた。こうした事態にたいして都として厳正な対処が求められていると考えるがどうか。  5 既設の店舗にたいして安全上からも都民から疑問の声があがっている。売り場は「圧縮陳列」と称して一般のスーパーなどと比べても二、三段高く天井にとどくまで商品が積み上げられ通路は迷路状態となっている場合がある。    安全確保のために、避難通路の確保など法令上の規制が厳守されるよう対処すべきと思うがどうか。  以上      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    吉田信夫議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 深夜営業展開する大型ディスカント店の規制について   1 ドン・キホーテ環七杉並店の出店計画については、周辺住民、商店会及び杉並区議会の意思を受け止め、住民の声を無視して出店が強行されることのないよう、都として対応すべきだが、如何か。 回  答   大店法の運用においては、大型店の立地についての適否判断はできないこととなっておりますが、大型店の出店に当たっては、法の適正な運用を基本として、地域の商業活動との調和のとれた出店の確保を重要な要素と考え、調整を行っているところです。   ドン・キホーテ環七杉並店の出店についても、こうした観点から調整に努めるとともに、地域社会との融和についても配慮するよう喚起しているところです。   今後も、この出店案件に係る地域の動向を踏まえつつ、必要に応じ、出店者を指導してまいります。 質問事項  一の2 平穏な住宅地に、二十四時間営業の大型店が出店し、周辺住民の住環境を脅かすという事態に対し、住環境を守る立場から、都として新たな規制策を講ずるべきだが、如何か。 回  答   現行の大店法においては、お尋ねのような、住環境を守る立場から営業時間を規制することは困難ですが、本年六月から施行される大規模小売店舗立地法を運用していく中で、地域の実情によっては、周辺の生活環境を保持する観点から閉店時刻の調整がなされることは想定できるところです。   また、平成十年十一月二十日から施行された「都市計画法の一部を改正する法律」における特別用途地区制度を活用することにより、区市町村が大型店の出店を抑制する地区指定ができることとなっております。 質問事項  一の3 二十四時間営業の大型店は、すでに重大な社会問題化しており、新たな対策を検討するうえでも、既設店舗の実態、周辺住環境への影響、近隣住民の要望などの実態調査を都として至急行うべきと考えるが、如何か。 回  答   大型店の出店実態の把握については、地域商業者や住民の意向なども踏まえ、必要に応じて実施しているところです。   調査の結果から、大店法に照らして出店者が是正すべき店があるときは、その改善の申し入れを行うとともに、地域商業者などとの話合いを指導・要請し、適正な出店及び店舗運営がなされるよう努めているところです。 質問事項  一の4 ドン・キホーテの場合、本来の届け出や東京都の指導をも無視した営業展開が少なからず行われてきた。こうした事態に対して、都として厳正な対処が求められていると考えるが、如何か。 回  答   都は、これまで、店舗の運営方法などについて、その是正が必要な店舗に対し、口頭あるいは文書による改善の要請を行うなど、大店法の厳正な遵守を喚起し、一定の成果を得ているところです。   今後とも、地域商業者や住民の意向を踏まえつつ、法の適正な運用に努めてまいります。 質問事項  一の5 ドン・キホーテ売場における避難通路の確保について 回  答   ドン・キホーテの売場の避難通路の確保についてでありますが、売場通路については、火災予防条例により売場の面積に応じた避難通路の幅員を確保するとともに、避難の障害となる物件等が置かれないよう管理することと定められております。   当庁としては、これら通路、階段等の避難施設の管理並びに商品の積み上げによる消防用設備等の機能障害発生の有無等について、立入検査により維持管理状況を確認し、消防法令違反を現認した店舗には、違反指摘を行い、早期是正を図っているところであります。   今後も、それぞれの物品販売店舗における特殊性を踏まえた立入検査を実施し、避難施設等の維持管理を徹底してまいります。      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 和田 宗春 質問事項  一 交番制度の整備、充実について  二 道路緑化と公園緑化の問題点について  三 十条駅周辺の再開発について  四 東京外国語大学跡地の利用について 一 交番制度の整備、充実について   私たちの生活する東京都の治安は、世界の注目を集めてきている。諸外国からの視察が絶えないことがその事実を物語っています。   最近の外国の主要都市との主な犯罪比較をみると歴然としています。   東京の特別区における人口十万人当りの事件の発生数を一とした場合、殺人はニューヨークが二十二倍、ロンドンが十九倍、パリが六倍、強盗はロスアンゼルスが二百十五倍、パリが二百倍、窃盗はニューヨーク四倍、パリ五倍となっています。   私はこのように東京都の治安が守られている大きな理由の一つは、交番制度にあると考えています。   かつて私は警視庁の幹部に交番制度を東南アジア、ニューヨークなどへ紹介して、わが国の治安の良さを「輸出」するべきと話したことがあります。   近年、諸外国でも「KOBAN」で通用するほどに受入れられていることを聞くにつけて、交番制度の国際化はわが国の治安のよさの輸出につながるものです。   現在、東京都には約千二百か所の交番がありますがかつては警察官が常駐して、地理案内、落とし物の取り扱い、パトロール、交通整理など都民の暮らしにとって欠かせない事柄と関係していました。   しかしながら、ここにきて交番制度のあり様と、都民生活の安心度に変化が生じてきていると思います。   そこで野田警視総監に伺います。  1 最近五カ年間の、窃盗、ひったくりなど地域性の強い犯罪の動向がどのようになっているのか。  2 警察官がいない交番があるがどのような理由からなのか。  3 交番に警察官がいないことと地域性の強い犯罪の相関関係はあるのか。  4 高齢者に対する犯罪の増加傾向をどの様に考えているのか。    又、この犯罪増加傾向を踏まえ警視庁の設置に関する条例の改正等を視野に入れ交番の警察官を整備、充実するべきであるがどうか。 二 都内の道路緑化と公園緑化の問題点について   (株)東京都緑化業協会は平成十一年九月に「市民への緑に対する意識調査」結果をまとめて公表しています。都民一千人に対してアンケート調査を行なったものです。   十年前にも同様の調査をしているので比較すると都民の緑に対する意識変化が浮き彫りになります。   「緑の中を歩くのが好きだ」という人が十年前は六一%であったのが、今回では七九%にも増えています。緑を求めている都民が二〇%も増えているということです。日頃目にする「身近かな緑に対しても満足していない」が四五%となっています。都民の身近な緑への不満は根強いと言えます。   また都民は何のために緑地空間を求めていると聞きますと「心の安らぎ」が四〇%、「散歩」が三〇%となっています。   また道路緑化、公園緑化の役割については、地球温暖化防止が七〇%、避難場所として公園、緑地を挙げた人は四〇%となっています。   私はこの調査から次のことを学びました。   緑は「心の安らぎの場」として精神的なよりどころであることはもちろん都市基盤としての必要不可欠な「施設」として認識している都民が圧倒的に多いということです。そこで以下石原知事、関係局長に伺います。  1 まず道路緑化についてです。   ア 都は道路緑化のマスタープランを立て実施中であるが、計画は順調に進行しているのか。   イ 樹木の種類の選定にあたっては、国、市区町村との協議を通じて意見調整を十分にすべきであるが、どうか。   ウ 植樹前植樹後の生育環境条件の調査、整理を十分行なうべきであるがどうか。   エ 近年進んできている地下共同溝敷設に際して樹木保護はどのようにしているのか。  2 つぎに公園緑化についてです。   ア 公園緑化経費にトイレ建設費が含まれているが、平均して建設費の何%になるのか。   イ トイレが華美になり簡素な施設で清潔、安全であればよい方向が崩れているのではないか。   ウ 公園の施設に多摩産の材木、間ばつ材などを有効利用するべきであるがどうか。   エ 公園全体として、人工的になり、自然すなわち緑が重視されていない傾向にあるのではないか。 三 十条駅周辺の再開発について   JR十条駅を中心とする九十五ヘクタールは道路、住宅等に課題を有する地域として、平成九年三月に、東京都によって作成された「防災都市づくり推進計画・整備計画」に指定されています。   また平成九年十一月には東京都が作成した「生活都市東京の創造 重点計画」では埼京線の立体交差化が「事業準備中路線」とされています。   防災都市づくり、埼京線立体化ともそれぞれが相互に関連をする重大事業です。   そこで石原知事、関係局長に伺います。  1 防災都市づくりについて   ア 「防災都市づくり推進計画・整備計画」のうち進捗しつつある北区上十条三・四丁目の密集住宅市街地整備促進事業は現在どのように具体的に地域との話し合いが実ってきているのか。   イ 来年度以降の計画についてはどうなっているのか。  2 連続立体交差事業について
       踏切遮断時間がピーク時で、補助八五号線の十条道四十一分、仲原で三十八分となっている。    また踏切の数も六個所である。    東西の交通や沿線の効率的な土地利用を阻害してきている。    立体化といっても地上化、地下化の両論があるところである。    北区が昭和五十一年「赤羽線輸送力増強計画」を同意するにあたって十条駅付近の地下化を条件にして、国鉄もこれを了承した経緯もある。    そこで伺います。   ア 先に述べたとおり防災町づくりと立体交差事業は不即不離の事業であると考えるがどうか。   イ 防災、立体交差ともに至急に解決すべき事業であることは言を待たない。     建設省の補助金、都の財政危機、立体交差事業の費用対効果の問題などを考えると早期の決断が求められる。     北区は平成十二年一月に都市計画マスタープランを策定するとしている。     それをうけて都は北区と詰めた協議をするべきであるがその意向はどうか。 四 東京外国語大学跡地の利用について   東京外国語大学は北区西ヶ原四-五一-二一にありその面積は四・五一ヘクタールです。   平成元年度、二年度に北区が「政府機関移転跡地調査」を実施して、跡地問題が俎上にのぼることとなりました。今日まで十年以上が経過してきているが、とくに平成十年四月に東京都や北区等が「東京外国語大学跡地利用計画検討連絡会」を設置して具体的な検討がなされてきています。   移転予定年度は平成十二年度から十四年度までとされています。   関係者である文部省、大蔵省、東京都、北区の四者協議が行なわれてきています。   そこで石原知事、関係局長に伺います。  1 四者協議の中で何が課題として取り扱われてきたのか。  2 処分年次を前提とした利用計画策定スケジュールは検討されてきたのか。  3 その際に地域すなわち地元自治会等の意見を聴取すべきと考えるがどうか。  4 国立大学の独立行政法人化がいわれるなか、一橋大、東京医科歯科大、東京芸大、東京工大、東京外大の五大学ユニオン化がいわれている。当局はこの動きを承知しているのか。      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    和田宗春議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 交番制度の整備充実について   1 最近五カ年間の窃盗、ひったくりなど、地域性の強い犯罪の動向がどのようになっているのか、伺う。 回  答(警視総監)   全窃盗犯の認知件数につきましては、平成六年から同九年まで十九万件前後で推移していましたが、平成十年は約二十万八千件、また、平成十一年は、前年同期比約一万六千件増の約二十二万四千件と増加傾向を示しております。   このうち、ひったくり事件の認知件数につきましては、平成八年まで三千件台で推移していましたが、平成九年には四千五百件台、翌十年には五千六百件台に急増し、さらに、平成十一年では前年同期比約千三百件増の約六千九百件と急増しております。 質問事項  一の2 警察官がいない交番があるが、どのような理由からなのか、伺う。 回  答(警視総監)   当庁には、現在、約九百六十か所の交番があり、一交番当たり原則として三人以上の地域警察官を配置することとして、四交代制合計十二人以上の勤務体制を基本として運用しております。   地域に密着した交番の諸活動は、益々その存在が重要性を増しておりますが、犯罪や各種事故をはじめ、警察事象の発生は、地域により、また時間帯によって、大きな差があります。当庁といたしましては、限られた人員によって、厳しさを増す情勢に的確に対処する必要から、地域警察官の重点的、弾力的運用を実施する局面が少なくないため、場所により時間によっては、一部に警察官が不在となる場合が生じてまいります。 質問事項  一の3 交番に警察官がいないことと、地域性の強い犯罪の相関関係はあるのか、伺う。 回  答(警視総監)   交番の警察官の不在と犯罪発生の相関関係について統計的なものは有しておりませんので、相関関係については明言できかねます。   当庁といたしましては、犯罪の発生が予想され、若しくは犯罪が多発する時間帯、場所等を考慮して、効率的な警戒活動を行っているところであり、不在交番に対しては、隣接交番勤務員による立寄り警戒、パトロールカーによる警戒等を強化し、不在となることにより犯罪等の発生が増加することのないように配慮しております。 質問事項  一の4 高齢者に対する犯罪の増加傾向をどの様に考えているのか、伺う。    また、この犯罪増加傾向を踏まえ、警視庁の設置に関する条例の改正等を視野に入れ、交番の警察官を整備充実すべきだが、如何か。 回  答(警視総監)   高齢者社会の進展に伴い、高齢者の犯罪被害が年々増加傾向にあります。   中でも、高齢者を狙うひったくり事件が増加しているほか、高齢者が被害に遭いやすい悪質商法等も目立っております。   このようなことから、当庁といたしましては、これら犯罪の検挙に力を入れるとともに、高齢者宅を直接訪問するほか、座談会、キャンペーン、防犯教室の開催をはじめ、講演や模擬訓練等による被害防止活動を推進しております。また、地域の犯罪の発生実態にあわせて、パトロールや警戒体制を強化するなど、事案の発生防止と検挙に努めているところであります。   近年における治安情勢は、こうした犯罪に限らず、一段と厳しさを増しており、こうした情勢の下にあって、「交番に警察官がいてほしい」等という都民の強い要望に的確に対応し、地域に密着した警察活動を推進するために、組織体制や整備の職員の指導教養に努めているところでありますが、今後さらに条例等の改正につきましても、慎重に検討してまいりたいと考えております。 質問事項  二 道路緑化と公園緑化について   1 道路緑化について    ア 都は、道路緑化のマスタープランを立て、実施中だが、計画は順調に進行しているのか、伺う。 回  答   東京都では、平成二年五月の東京都街路樹マスタープラン検討委員会報告を受け、街路樹のせん定方法を工夫して緑の増量を図るとともに、隣接する公共施設の緑と一体となった「緑化道路」や、歩道内に設ける「まちかど庭園」などの整備を着実に行っています。また、街路樹の健康診断を実施するなど、適正な維持管理に努めているところです。   今後ともこれらの事業を計画的に進め、さらに快適な道路環境づくりに努めてまいります。 質問事項  二の1のイ 樹木の種類の選定にあたり、国及び市区町村との協議を通じ、意見調整を十分すべきだが、所見を伺う。 回  答   街路樹の選定に当たっては、原則として、道路工事設計基準に定められている種類のうちから当該道路の自然環境や道路構造を勘案して複数の候補を選び、地元区市町村等関係機関や住民の方々と協議の上、決定しているところです。   今後とも、種類の選定に当たっては、地元区市町村等関係機関や住民の方々と、十分協議をしてまいります。 質問事項  二の1のウ 植樹前及び植樹後の生育環境条件の調査及び整理を十分行うべきだが、如何か。 回  答   街路樹の植栽に当たっては、根張り空間の確保や生育に適した土壌の改良に努めているところです。植栽後においても、計画的な街路樹の健康診断を実施し、生育状態にあわせて土壌改良や施肥を行うなど、樹木に十分配慮した維持管理に努めています。   また、根が歩道を持ち上げる「根上がり現象」により通行に支障をきたす場合は、切り戻し作業を行っていますが、その場合においても細根の発生を促す処置を施すなど、樹木の保護に努めているところです。 質問事項  二の1のエ 近年進んできている地下共同溝敷設に際し、樹木保護はどのようにしているのか、伺う。 回  答   電線共同溝の整備に当たっては、既に埋設されている上・下水道管やガス管等との位置の調整を行い、できるだけ街路樹への影響を少なくするよう、配慮しています。   工事に伴ってやむなく樹根を切断する場合は、防菌及び癒合促進処理を行うなど、樹木の保護に努めています。 質問事項  二の2 公園緑化について     ア 公園緑化経費にトイレ建設費が含まれているが、平均して緑化経費の何パーセントになるか、伺う。 回  答   都立公園における公園緑化経費などの整備関係予算に占めるトイレ建設費の割合は、過去三年間の平均で五・六%となっています。 質問事項  二の2のイ トイレが華美になり、簡素な施設で清潔、安全であればよい方向が崩れているのではないか、伺う。 回  答   トイレは、建築面積当たりの壁数が多い構造であるうえに、高齢者や車椅子使用者でも安全に利用できる構造とする必要があること、給排水、電気などの設備が集中すること、衛生上の観点からタイルやステンレスなどを多用していることなどから、小規模ながら経費がかかる建築物です。   このため、材料を見直すと共に、建築設計の共通化を図るなどコスト縮減に努めております。   今後とも、機能的で安全・快適に使用できるトイレづくりを進めていきます。 質問事項  二の2のウ 公園の施設に多摩産の木材・間伐材などを有効利用すべきであるが如何か。 回  答   多摩産の木材については、自然公園施設において避難小屋やトイレの建築等に有効利用するとともに、維持管理においては、地元森林組合と連携し、間伐材など地元木材を利用し、補修及び修繕を行っています。また、今年度から都市公園施設においても使用を始めたところです。   今後も、庁内に設置されている東京都木材利用推進連絡会において情報交換を図りながら、利用の推進に努めてまいります。 質問事項  二の2のエ 公園全体として、人工的になり、自然すなわち緑が重視されていない傾向にあるのではないか、伺う。 回  答   公園整備にあたっては、快適な空間の確保や防災の面からも、緑を基本として整備することが重要だと考えております。   また、都民の方々からも緑の確保の要望が多く寄せられていますが、スポーツ及びレクリエーション施設などを設けて欲しいとの要望もあることから、整備に当たっては、それらの施設と緑との調和を図りながら事業を進めているところです。   今後とも、快適で緑豊かな公園整備を進めてまいります。 質問事項  三 十条駅周辺の再開発について   1 防災都市づくりについて    ア 防災都市づくり推進計画及び整備計画のうち、進捗しつつある北区上十条三丁目及び四丁目の密集住宅市街地整備促進事業は、現在、どのように具体的に、地域との話し合いが実ってきているのか、伺う。 回  答   当地区は、老朽建物が密集し、防災面や住環境面の課題を抱えており、都は、「防災都市づくり推進計画<整備計画>」の中で重点地区に選定し、北区においては都と連携しながら、密集住宅市街地整備促進事業等による整備に取り組んでいるところです。   平成八年一月には、まちづくり協議会が設立され、この協議会を中心として事業への理解を深める話合いが重ねられてきました。その成果として、まちかど広場二か所の整備が実現しております。   また、住民の建替えに係る相談会を定期的に実施し、建物の建替えも徐々に進んできております。
    質問事項  三の1のイ 来年度以降の計画については、どうなっているのか、伺う。 回  答   事業主体の北区では、今年度より始めたまちづくり研修会を来年度も継続して実施する中で、主要生活道路拡幅のための意向調査や、地区計画策定のための合意形成を推進していくこととしております。これらを踏まえて、防災や住環境の改善を目指して、公園やまちかど広場等の用地取得、細街路整備及び建物の不燃化を促進する計画です。   都としても、区との緊密な連携のもと、整備計画の早期実現に向けた支援に努めてまいります。 質問事項  三の2 連続立体交差事業について     ア 防災まちづくりと立体交差事業は、不即不離の事業であると考えるが、如何か。 回  答   JR埼京線十条駅付近の立体交差事業は、交通渋滞の解消、交通安全の確保等を図ることはもとより、市街地の地域分断を解消し、一体的なまちづくりを進めることにより、避難経路の確保や消防・救援活動の円滑化など、防災都市づくりに寄与します。   都としては、周辺のまちづくりの進捗や都財政の状況など、種々の課題を踏まえながら、立体交差事業について総合的に検討を行ってまいります。 質問事項  三の2のイ 北区では、平成十二年一月に、都市計画マスタープランを策定するとしている。それを受け、北区と詰めた協議をすべきだが、伺う。 回  答   北区では、現在、都市計画マスタープランを作成中と聞いています。   都としては、この都市計画マスタープランや周辺のまちづくりの進捗、都財政の状況を勘案しながら、北区とも協議をしつつ適切に対処してまいります。 質問事項  四 東京外国語大学跡地の利用について   1 文部省、大蔵省、東京都及び北区の四者協議の中で、何が課題として取り扱われてきたのか、伺う。 回  答   お尋ねの四者協議は、東京外国語大学の跡地利用計画の策定スケジュール等を検討するため、平成十一年三月に開催し、大学(文部省)としての移転スケジュール、大蔵省関東財務局の土地処分手続き等について協議を行ったものです。 質問事項  四の2 処分年次を前提とした利用計画策定スケジュールは、検討されてきたのか、伺う。 回  答   東京外国語大学から、全学移転完了後の跡地処分の可能となる時期は、平成十四年度末以降となると聞いており、これを踏まえて地元区とともに利用計画の検討を進めているところです。 質問事項  四の3 地域、地元自治会等の意見を拝聴すべきと考えるが、如何か。 回  答   北区では、本年度「東京外国語大学跡地利用転換計画調査」を実施しているところですが、この調査に先立ち、地元十町会自治会長に移転の概要等について説明を行ったほか、十二月には大学周辺地域の四町会自治会役員に対して、住民意向アンケート調査についての説明を行っていると聞いております。   今後は、この調査結果等をも踏まえて、地元区とともに跡地利用計画を検討してまいります。 質問事項  四の4 国立大学の独立行政法人化がいわれるなか、一橋大、東京医科歯科大、東京芸大、東京工大及び東京外大の五大学のユニオン化がいわれているが、当局は、この動きを承知しているのか、伺う。 回  答   五大学のユニオン化については、「大学間の単位互換、編入学の緩和、教養教育の共通化、共同の公開講座の開催、東京外国語大学跡地の共通キャンパス化構想等の大学連携構想」として新聞報道されたところです。   しかし、東京外国語大学からは、跡地を処分し、その収入を府中市への移転整備の財源とする従来の文部省の方針に変更はないと聞いております。      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 坂口こうじ 質問事項  一 医療系産業廃棄物処理の課題と緊急対策について 一 医療系産業廃棄物処理の課題と緊急対策について   産業廃棄物、わけても医療系産業廃棄物の処理(収集・運搬・処理・処分)は、社会的に有用で大変重要な事業であります。   しかし、これまでは、生産・流通・消費のいわば「動脈ルート」のみが重視され、使用後の廃棄物の潜在的危険性が指摘されているにもかかわらず、その処理、いわば「静脈ルート」については、ほとんど光が当てられずに今日に至っています。   その結果、都内はもとより、国の内外において深刻な課題を引き起していることは周知の通りであります。   今後は、早急にその実態を明らかにすると共に、現行法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の厳正な運用は基より、生産(製造)・流通(運搬)・消費(排出事業者・医療機関)・産業廃棄物取り扱い業者(中間処理業者、最終処分業者)、行政、利用者等が、それぞれの責任と役割を明らかにして、安全で安心できる新しい時代に向けての法整備や条例(東京ルール)等を早急に整備すると共に、新しいシステムを構築していかなければならないと考えます。   そこで以下、その現状、課題、緊急対策等について伺います。  1 東京都内における産業廃棄物の発生の推移と現状はどのようになっているか、又その収集・運搬・中間処理・最終処分の実態は正確に把握されているか否か伺います。  2 平成十一年十二月五日のNHK BS及び十二月七日読売新聞の報道によると「マニラ港に日本のゴミ二千トン 栃木県の業者発送紙おむつなど放置」の見出しで、マニラ港に届いた九十二個のコンテナから大量の紙おむつや生理用ナプキンなどのほか、注射器などの医療廃棄物が入っていることがわかったという。    これが事実とすれば、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」(平成五年十二月六日条約七)に明らかに違反していると考えられるが、事実関係と、その当否及び罰則について伺います。  3 この事件と関連し、都内には最終処分場が少なく廃棄物の多くが都外で処分されている現状をみるとき、この中に都内で排出された(又は中間処理された)廃棄物が入っていることは十分考えられる。そこで伺います。    産業廃棄物の中で、特に医療系産業廃棄物の発生について、その排出事業者である医療機関、排出量、内容(感染性廃棄物等潜在的危険性の有無)等の正確な把握がなされているか否か、又その収集・運搬・処理・処分は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき適正に行われているか否か伺います。  4 東京都武蔵村山市内のN社については、かねてから「産業廃棄物処理施設(焼却施設)の維持管理基準違反」があり、「改善の指示」や「警告」を行ってきていますが、その経過(違反の内容、指示や警告、改善措置)と実態(成果と残されている諸課題)について伺います。  5 N社については、高圧蒸気滅菌装置(オートクレープ)等の試運転を行っているようでありますが、前記のような違反があり、改善や指示や警告を受け、地元自治体や東京都が監視・監督中の事業者が、いまだ技術的にも未成熟で安全性の点でも問題が残されている装置の試運転を同一敷地内で行うことには、法的にも社会的にも数々の問題があり、即刻適切な措置をすべきと考えますが所見を伺います。  6 東京都が、石原都政となり先般発表した、「危機突破・戦略プラン-二十一世紀への第一ステップ-」においても、「苗21 産業廃棄物等の適正な処理を進める新たなルールづくり」が提示され、「産業廃棄物や建設残土などが適正に処理されるよう、法令に基づく対策に加え、都独自の条例により取組みを強化します」とされている。そこで伺います。    医療系の産業廃棄物についても、早急に排出事業者(医療機関等)や中間処理・最終処分業者が適正に処理をしたか否か、排出者の責務として確認をし、その情報が公開できる体制「東京ルール」や、七都県市の広域的な連絡体制や監視体制「首都圏広域ネットワークシステム」等の充実をはかるべきと考えますがどうか所見を伺います。  7 前述したように、この種の廃棄物の処理は社会的に必要であり、大変重要な事業であります。    そこで、このような潜在的危険性をもつ医療系廃棄物の処理について、欧米先進国等ではどのように対応(法的・技術的)しているのか、又日本ではどのように対応しようとしているのか、先進的な自治体や企業の事例、「ロータリーキルン方式」などの技術の動向、今後の展望などについて伺います。  8 最後に「危機突破・戦略プラン」にもあるように、今後の処理業者まかせの「無責任体制」を改め、「動脈ルート」の適正な監視と指導は基より、「静脈ルート」にも、しっかりと光をあて、私たち利用者(受益者)を含め、関係者の社会的役割や、それぞれの責任を明らかにし、協力をする中で、安全で安心できる新しいシステムを構築していかなければならないと考えます。    当面の事業者に対する適正な指導・監督を含め、新時代に向けての研究・開発(R&D)への強力な支援策を求めるものですが、知事の所見を伺い、私の文書質問を終ります。      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    坂口こうじ議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 医療系産業廃棄物処理の課題と緊急対策について   1 東京都内における産業廃棄物の発生の推移と現状はどのようになっているのか。     また、その収集、運搬、処理、処分の実態は正確に把握しているか否か伺う。 回  答   平成九年度の実態調査によると都内からは、二千三百九十九万トンと多量の産業廃棄物が排出されております。前回の平成四年度の実態調査の排出量二千四百七十九万トンと比較すると、約三%減少しており、これまで増加傾向を示していた産業廃棄物の排出量が初めて減少しました。   排出量二千三百九十九万トンの処理の流れを見ると、千六百十三万トン(排出量の六七%)が中間処理(脱水、焼却等)により減量化され、四百六十一万トン(同一九%)が再生利用され、その結果三百二十五万トン(同一四%)が最終処分(埋立)されています。 質問事項  一の2 マニラ港に届いた日本発のコンテナに医療廃棄物が入っていた問題で、これが事実なら、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約(バーゼル条約)」に違反すると考えるが、事実関係、その当否及び罰則について伺う。 回  答   ご指摘のとおり、フィリピン政府は、当該廃棄物について有害廃棄物の輸出を禁止したバーゼル条約に違反するとして、昨年十二月十三日に日本国に廃棄物の引取り通告してきました。   国はこれを受け、同年十二月二十四日廃棄物を輸出した処理業者に同年十二月三十日までに当該廃棄物を撤収し日本国内に移動するよう措置命令を行いました。   しかし、処理業者が実行しなかったため、同年十二月三十一日に国が代執行し、平成十二年一月十一日に東京港へ持ち帰り、同月十九日からは国が廃棄物処理の代執行を行ったところです。   処理業者は、特定有害廃棄物等の輸出入等の規則に関する法律(バーゼル法)が準用する外国為替及び外国貿易法に違反し無承認で輸出していることが確認されれば、三年以下の懲役、若しくは百万円以下の罰金に処せられることになります。また、バーゼル法に基づく廃棄物の運搬等の措置命令違反では法律上、三年以下の懲役、若しくは三百万円以下の罰金に処せられることになります。   あわせて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)では、産業廃棄物の輸出には厚生大臣の確認が必要であり、これに違反していることが確認されれば、五十万円以下の罰金に処されることになります。   なお、処理業者が変更許可を受けずに処分業を行ったことや確認を受けずに廃棄物を輸出したことが確認されれば、処理業者に処理業の許可をしている栃木県は、処理業の取消、又は期間を定め事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができます。 質問事項  一の3 医療系廃棄物の発生について、排出事業者である医療機関、排出量、内容等の正確な把握がなされているか否か伺う。また、その収集・運搬・処理・処分が、法に基づき適正に行われているか否か、併せて伺う。 回  答   平成九年度の実態調査によると都内から排出される医療系産業廃棄物は、五万九千トンであり、そのうち、その性状等から特別の管理を必要とする特別管理産業廃棄物である感染性廃棄物は、二万一千トン(医療系産業廃棄物は排出量の三六%)を占めています。感染性廃棄物を排出する事業所は、病院がほとんどで、他に診療所、保健所、血液センターなどがあります。   また、その処理は、排出事業者の自己処理が三千トン、処理業者への委託処理が一万八千トンとなっており、排出される全量が焼却や乾熱滅菌等により中間処理され、その後に埋立処分されています。   感染性廃棄物は、特別管理産業廃棄物として、通常の産業廃棄物よりも厳しい保管基準や処理基準が定められており、医療機関などの排出事業者や処理業者に対しては、国が作成した「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき、適正な処理を行うよう指導をしているところです。   今後とも、引き続き、感染性廃棄物の適正な処理に向け、指導の徹底を図っていきます。 質問事項  一の4 武蔵村山市内のN社は、産業廃棄物処理施設の維持管理違反があり、改善の指示や警告を受けてきているが、その経過と実態について伺う。 回  答   平成九年の廃棄物処理法の改正に伴い、新たに焼却施設の排ガス中のダイオキシン類濃度の基準が設定されるとともに、焼却施設の構造・維持管理基準、焼却設備の構造基準などが整備強化されました。   武蔵村山市内の当該処分業者については、今年度の立入検査時に、煙突から黒煙が排出されているなど、政令で定める焼却方法に適合していない事実、燃焼ガス温度が低いなど焼却施設の維持管理基準に適合していない事実があり、都は、立入指導をするとともに、改善の指示や警告をするなど指導に努めてきました。   現在は、これら不適合な事項は、すでに改善されていますが、引き続き、平成十四年からのダイオキシン類の排出基準に適合するよう、バグフィルターの設置などの改善策を指導しています。 質問事項  一の5 N社が、技術的にも未成熟で安全性の点でも問題が残されている高圧蒸気滅菌装置等の試運転を同一敷地内で行うことは、法的にも社会的にも問題があり適切な措置をすべきだが、所見を伺う。 回  答   高圧蒸気滅菌装置を用いて滅菌する方法は、廃棄物処理法に基づき国が作成した「感染性廃棄物処理マニュアル」に規定されている感染性廃棄物の中間処理の方法の一つです。   現在、武蔵村山市内の当該処分業者からは、高圧蒸気滅菌装置の設置による処分業の変更許可申請が提出されておりますが、許可前に行う廃棄物を使用した試運転についても、厚生省通知に基づき事前に都へ計画書を提出し承認を得ることが必要である旨指導しているところです。   なお、廃棄物を使用した試運転が行われたかどうかは、現在事情聴取及び立入等により、事実関係を調査しているところです。   当該装置の設置による変更許可に当たっては、「感染性廃棄物処理マニュアル」に基づき、飛散・流失等の安全対策について十分確認の上審査していきます。
    質問事項  一の6 排出事業者(医療機関等)や中間処理・最終処分業者が適正に処理をしたか否かの情報が公開できる体制や、七都県市の広域的な連絡体制や監視体制「首都圏広域ネットワークシステム」等の充実を図るべきだが、所見を伺う。 回  答   都は、適正処理の確保を図るため、排出事業者が最終処分に至るまで廃棄物が適正に処理されたことを確認する産業廃棄物処理の「東京ルール」を定め、これにより廃棄物の排出事業者や中間処理業者の指導を行っています。   また、国においても、排出事業者に対し最終処分の確認や原状回復の義務を課する事業者責任の強化を内容とする廃棄物処理法の改正案を、平成十二年の通常国会に提出する予定と聞いています。なお、お尋ねの情報公開については、今後の検討課題として対応してまいります。   さらに、広域的な取組については、昨年度、七都県市の間において事業者に対する指導の強化や不法投棄等の不適正処理の未然防止に関する取組を推進することが確認されたところであり、今年度は、産業廃棄物の不適正処理の実態や課題を把握するとともに、その迅速な対応を図るため、連絡体制等を整備したところです。   今後とも、七都県市の広域ネットワークシステムの充実について、検討していきます。 質問事項  一の7 医療系廃棄物の処理について、欧米先進国等での対応及び日本における対応について伺う。また、先進的な企業・自治体の事例、処理技術の動向及び今後の展望についても併せて伺う。 回  答   日本では、廃棄物処理法に基づく「感染性廃棄物処理マニュアル」で従来から認められている焼却や高圧蒸気滅菌などの方法に加えて、高周波滅菌やガンマ線等の照射による処理などの方法も、感染性微生物の不活性化が確認できることを条件に可能となりました。   海外では、焼却と高圧蒸気滅菌が主力でありますが、ダイオキシン類の発生等から焼却は減少し、高周波滅菌やガンマ線などを用いる新技術が実用化されていると聞いています。   都は、これらの新しい処理技術を採用する事業者の業や施設の許可に当たっては「感染性廃棄物処理マニュアル」を踏まえ、その有効性や安全性などについても十分確認をし、感染性廃棄物の適正処理の徹底に努めてまいります。 質問事項  一の8 当面の事業者に対する適正な指導・監督を含め、新時代に向けての研究・開発(R&D)への支援をすべきだが、知事の所見を伺う。 回  答   都は、産業廃棄物行政の基本指針である「第五次産業廃棄物処理計画」に基づき、事業者、処理業者、行政の三者が協力連携して、適正処理や減量・資源化を図るための各種施策を積極的に展開しております。   二十一世紀の新しい時代を展望すると、ご指摘のとおり、資源循環型社会をつくるためには、製造・流通などの動脈経済と廃棄物処理やリサイクルなどの静脈経済双方のバランスがとれた経済社会を構築していくことが必要であり、産業廃棄物対策が今後ますます重要になるものと認識しています。   都は、二十一世紀の産業廃棄物行政の指針としての第六次の処理計画の策定を目指して、昨年度は、産業廃棄物の動向などを把握するための実態調査を実施したところです。   ご指摘の新しい時代に向けた研究・開発への支援等も含め、この実態調査の結果などを踏まえて新しい処理計画を策定し、さらに効果的な施策を実施する方針です。      ───────────── 平成十一年第四回都議会定例会    文書質問趣意書            提出者 三原 將嗣 質問事項  一 清掃事業の区移管に伴う雇上車の問題について  二 ごみの早朝収集に伴う「ごみ出し」の基本ルールについて 一 清掃事業の区移管に伴う雇上車の問題について   平成十二年四月に清掃事業が二十三区に移管されることに伴い、目下、清掃局と二十三区との間で移管に伴う案件を協議しておられるところですが、ともすれば、職員の身分取扱いの問題や清掃工場の運営管理に重点がおかれているような気がします。   しかし、同様な重要案件にいわゆる雇上会社の問題があります。   雇上会社は、民間事業者ではありますが、歴史的経緯とその実績をかえりみれば、清掃局の事業と表裏一体で密接不可分なものであります。   この雇上会社への対応は平成六年十二月の「関係事業者への対応について」で、基本的なことが述べられていますが、具体的でない点もあります。   そこで次の点について、現在行われている清掃局と二十三区の覚書締結に当たっての協議の中で明確にされ、業界の意向を十分尊重した結論となるよう配慮していただきたいと思います。  1 地方自治法に基づく協議会は、永久的に存在するものとし、雇上車両計画については過去の実績を踏まえた業者選定をすることを明文化しておくべきである。  2 直営車と雇上車との二十三区各区での比率は、できるだけ長く現行の比率と同率としていくよう明示すべきである。  3 これらの対応について移管後に必要に応じて見直すこととしているが、その際にも過去の経緯を踏まえて民間事業者の意向を十分くみあげる配慮をするよう明示しておくべきである。  4 資源回収事業についても、雇上会社と民間資源回収業者との車両の比率はできるだけ長く、現行の比率と同率としていくよう明示すべきである。 二 ごみの早朝収集に伴う「ごみ出し」の基本ルールについて   十一月一日から二十三区内の主要地域で早朝収集を開始しました。   商店街等での早朝収集の社会的効果と評価については理解をしますが、午前七時頃にごみ出しをすることが非常に難しい方も多々あると思います。   そこで、各戸に協力を求めているとのことですが、そもそもごみ出しの基本ルールは条例及び規則により現在でも、「容器に入れて出す」こととなっていることから、前日の夜に出さざるを得ない人には、ごみ容器に入れて出すことを強力に指導すべきだと思いますが、清掃局の見解を伺います。      ………………………………… 平成十一年第四回都議会定例会    三原將嗣議員の文書質問に対する答弁書 質問事項  一 清掃事業の区移管に伴う雇上車の問題について   1 地方自治法に基づく協議会は、永久的に存在するものとし、雇上車両計画については、過去の実績を踏まえた業者選定をすることを明文化すべきだが、如何か。 回  答   地方自治法に基づく清掃協議会については、すでに全ての区議会において「東京二十三区清掃協議会規約」に関する議案が可決され、平成十二年四月一日をもって、設置されることが決まっております。規約には、協議会の存続に関する期間の定めがないため、今後、全ての議会の同意を得て、新たな存続期間を定めないかぎり、協議会は永続することになります。   平成六年九月の「都区制度改革に関するまとめ(協議案)」と一体のものとして合意された文書である「特別区における清掃事業の実施に伴う関係事業者(雇上会社)への対応について」では、過去の実績を踏まえて業者を選定することを明文化しており、これを基に移管前に都と区で覚書を締結し、それによって実効性を担保したいと考えております。 質問事項  一の2 直営車と雇上車との二十三区各区での比率は、できるだけ長く、現行の比率と同率としていくよう明示すべきだが、如何か。 回  答   各区での直営車と雇上車との現行の比率は、清掃事業の実施方法などが変わり、平成六年九月の「都区制度改革に関するまとめ(協議案)」にある関係事業者(雇上会社)への対応策が、社会状況に適合しなくなった場合を除き、維持することになります。 質問事項  一の3 対応については、移管後に必要に応じて見直すこととしているが、その際には、過去の経緯も踏まえ、民間事業者の意向をくみあげる配慮をするよう明示すべきだが、如何か。 回  答   平成六年九月の「都区制度改革に関するまとめ(協議案)」と一体のものとして合意された文書である「特別区における清掃事業の実施に伴う関係事業者(雇上会社)への対応について」では、「雇上会社への対応策の見直しに当たっては都、特別区(清掃協議会)及び関係事業者で協議する。」と定めており、移管前に締結を予定している都区の「覚書」にも、この趣旨を盛り込んでまいります。 質問事項  一の4 資源回収事業についても、雇上会社と民間資源回収業者との車両の比率は、できるだけ長く、現行の比率と同率としていくよう明示すべきだが、如何か。 回  答   都が平成十一年度において全区展開を目指した資源回収事業(東京ルールI)は、これまで集団回収の一翼を担ってきた民間資源回収業者に影響を与えることが予想されました。このため、都は、雇上業者に加え、民間資源回収業者も活用することとし、資源回収事業における雇上会社と民間資源回収業者の車両の比率を定めて事業を実施してきたところです。このことについては、これまでの経過等を含め、現行の比率を維持していくよう、各特別区に説明を繰り返し行ってきているところであり、移管後は関係者間での協議を踏まえながら、清掃協議会が調整していきます。 質問事項  二 ごみの早朝収集に伴う「ごみ出し」の基本ルールについて    ごみ出しの基本ルールは、条例及び規則により、「容器に入れて出す。」こととなっている。ごみを前日の夜に出さざるを得ない人に対し、ごみ容器に入れて出すことを強力に指導すべきだが、清掃局の見解を伺う。 回  答   前日の夜からのごみの排出は、放火の恐れや集積所の適正管理の面から好ましくないため、収集当日の決められた時間までに、定められた集積所にごみを出すようお願いしております。   しかしながら、早朝収集地区において、決められた時間にやむを得ずごみを排出できない事業者に対しては、当該集積所を使用している都民及び事業者の理解と協力が得られ、堅牢なふた付き容器によりごみの排出ができる場合に限り、決められた時間より早い時間のごみの排出を認めることとし、その条件を遵守するよう強く指導してまいります。...